香川の「いざという時」を守る!

東京海上日動火災保険 高松支店長 高橋 淳さん

Interview

2023.12.21

転勤族の父のもと子どもの頃から各地を渡り歩き、就職後は自身も転勤生活に。高松が23カ所目の転居先で、「趣味は引越です」と笑う。「いろんな土地の文化に触れて交流するのはとても楽しい。香川で半年過ごして、住みやすさや食文化の豊かさ、そして何より人の温かさにたびたび心を打たれています」。休日はバイクで四国遍路をめぐる日々だ。

テロや異文化間交渉… 節目節目で深めた見識

高橋さんが就職活動を行った時期は、「就職氷河期」が流行語になった頃。保険業に特別な興味があったわけではないが、保険という「目に見えない商品」を顧客に信用してもらうには対話力が欠かせないこと、保険商品を販売する代理店とのチームワークが重要なことに魅力を感じた。「チームで喜びを分かち合いたい」と面接で語り、一番早く内定をもらったのが東京海上火災保険(当時)だった。

入社後は九州で自動車、東京で旅行などの業界担当に。旅行業営業部にいた2001年、アメリカ同時多発テロ事件が発生。テロ被害に関する約款が存在せず顧客の不安が高まる中で、業界が一丸となって「補償する」と回答した。「有事にお客さまを守り、日頃は忘れていてもきちんと守られていると安心できる世界を確立するのが私たちの仕事。お客さまを守る意識が高まった経験でした」と振り返る。

04年、日動火災海上保険と合併して東京海上日動火災保険が誕生した際に名古屋に異動。08年にロサンゼルスの拠点に移ってからは、日系企業全般の担当としてさまざまな業界の知見を深めた。12年、本社自動車営業開発部の海外チームに配属され、グローバルに展開する自動車メーカー向けの海外保険対応サポートを経験したのち、15年からアジア・バンコク駐在員としてタイに移る。

タイでは現地拠点のタイ東京海上と地場の保険会社を合併する事務局を務めた。「社風や目的意識などがまったく異なる文化間の交渉で、一緒に頑張っていると思ったら『どうせ日本に帰る立場だからドライな判断が出来るんだ』と言われたり…。我々のことを知ってもらおうと本気で取り組む姿勢が問われました」。相互理解を深める努力の中から生まれたのが、社内公募で採用した「Aim High!Think Hard!Move Fast!(高みを目指し、知恵を絞って、即行動!)」のスローガン。「タイ人社員が提案したフレーズで、とても気に入って今も使っています」

変化の核を担う若手に期待

支店メンバーとボランティアを務めた サンポート高松トライアスロン2023

支店メンバーとボランティアを務めた
サンポート高松トライアスロン2023

タイでの経験は顧客対応における「徹底して対話し理解してもらう」姿勢と、フランクでフラットな組織運営を目指す現在の管理職としての在り方にもつながった。自動車や旅行などの「業界」視点、タイという「マーケット」視点に加えて、高松支店長となった現在は「エリア」視点に立つ。「お客さまの有事を守るように、香川のいざという時を守りたい」思いから、行政や警察と連携したサイバーセキュリティ、自動車事故時の自動発報サービスの展開や、企業のBCP策定支援、GXコンサルティングなどのソリューションビジネスも展開中だ。

支店メンバーとは「少し真面目に、でも気楽に」をモットーに、個人面談で一人一人の思いを丁寧に受け止める。「今後、部門統合や業務集約が進めば仕事の仕方が大きく変わってくるでしょう。業界が変化する中で核となるのは今の若手。上にノーと言える気風とともに、変化に対応する覚悟とチャレンジ精神を持ってほしい」と語った。

戸塚 愛野

高橋 淳 | たかはし あつし

略歴
1972年ドイツ生まれ
1995年 慶応義塾大学経済学部卒
    東京海上火災保険株式会社入社
2015年 東京海上日動火災保険株式会社
    アジア・バンコク駐在員
2019年 同 東京自動車営業第三部長
2023年 同 高松支店長

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