新設法人前年⽐5.5%増、741社が設⽴

2021年⾹川県「新設法⼈動向」調査 東京商工リサーチ

Research

2022.07.07

2期振り 起業ニーズ復調

2021年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(以下、新設法人)は14万4,622社(前年比10.1%増、前年13万1,238社)で、2019年以来、2年ぶりに前年を上回った。2007年以降で初めて前年比の増加率が10%を超え、件数は2017年を抜いて過去最多を記録した。香川県では741社(前年比5.5%増、前年702社)が設立され、2019年以来、2年ぶりに前年を上回った。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象400万社)から、2021年(1-12月)に全国で新しく設立された全法人を抽出し、分析した。

産業別5産業が増加

産業別では、10産業の内、5産業で増加、1産業は同数、4産業で減少した。増加した産業は農・林・漁・鉱業、建設業、卸売業、運輸業、情報通信業で、増加率が最も高かったのは、卸売業の80.0%(10社→18社)だった。コロナ禍の三密回避や地方回帰の動きが新設法人の動向にも影響を与えたとみられる。一方、金融・保険業は同数、製造業、小売業、不動産業、サービス業他は減少した。コロナ禍で停滞した動きを反映、2022年は円安や原油・原材料価格の高騰、電気料金の引き上げなどが相次いでおり、製造業の新設法人数はさらに低迷する可能性が高まっている。
コロナ禍が既存ビジネスモデルや商流に変革を迫り、新たなビジネスが芽生えつつあるようだ。関係官庁や商工会議所、金融機関など、手厚い創業支援も新設法人の増加に繋がったとみられる。

一方でコロナ禍での雇用環境の悪化が起業を促した可能性も見ていく必要があるだろう。政府が推し進める創業支援は、「民間活力を高めていくためには、地域の開業率を引き上げ、雇用を生み出し、産業の新陳代謝を進めていくことが重要」(創業支援/創業機運醸成のガイドライン)との認識が根底にある。

2021年香川県(1月~12月)の倒産は39社(前年比5.4%増)、休廃業・解散は363社(同0.5%減)であり、コロナ禍で矢継ぎ早に実施された政府の資金繰り支援策などから特に休廃業・解散件数が抑制されている。しかしながら、創業支援への取り組みとコロナ禍の緊急避難的な支援が「代謝なき新設」を招いた側面もあり、今後の支援策のあり方も問われている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 有馬 知樹

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