暮らしや人生にそっと寄り添って

生活協同組合 コープかがわ
代表理事 理事長 亀井 愛知さん

Interview

2025.10.02

昨年11月にリニューアルした高松市扇町のコープ扇町

昨年11月にリニューアルした高松市扇町のコープ扇町

あらゆる角度から生活を支える

“COOP”の青い看板がおなじみの「店舗」。商品を自宅などに届けてくれる「宅配」。たすけあい共済や火災共済、エアコンのクリーニングや害虫駆除など様々な暮らしの困りごとを解決してくれる「保障やサービス」。言葉で説明するとこの3本柱が主な事業だが、つまりは、人々の生活をあらゆる角度から支えているのが「生活協同組合コープかがわ」ということになる。

店舗や宅配を利用したり共済などに加入したりするのは、基本的にはコープかがわに出資(1000円~)している組合員に限られる。現在、組合員数は約20万人。県内の実に2軒(世帯)に1人が組合員だ。「この割合は他県のコープと比べても多い方です。ですが、まだまだ知られていないと感じています。組合員にも、組合員ではない人にも、もっとコープの魅力を知ってもらいたいんです」。昨年6月に代表理事理事長に就いた亀井愛知さん(54)は強い口調で呼びかける。

「店舗」では、スーパー並みの品揃えに加え、コープでしか売っていないオリジナル商品もずらりと並ぶ。“コープの産直”シリーズは文字通り産地直送。新鮮な野菜や果物、ジューシーで臭みが少なく脂身の甘い讃岐もち豚など、生産者のこだわりが詰まった安全・安心な商品は大人気だ。
また、店舗の改装時には「イートインコーナーをできるだけ広くするようにしています」。コープはただ買い物をするだけではない、コミュニケーションの場でもある。「気軽に集まっておしゃべりできる。コープに行けば何かある。会っておしゃべりできる人がいる。地域の皆さんにとっての“居場所”のようになればと思っています」
宅配トラック

宅配トラック

街中でよく目にするコープのロゴが入ったトラック。食料品など注文した商品を自宅に届けたり、隣近所や職場などにまとめて届けたり、県内各地にあるココステーション(商品受取所)まで届けたりする「宅配」は、スーパーなどにはあまりないコープならではのやり方だ。

「いろいろな選択肢があるので、暮らしのリズムに合わせて利用してもらいたいですね」

コープには、組合員から意見や要望を寄せてもらう仕組みがある。「ここ数年、感謝の言葉をいただくことが増えたように感じます」。特に増えたのは新型コロナ以降。「『宅配があって本当に良かった』『暮らしに欠かせなくなった』と。これほどうれしいことはありません」。亀井さんは目を細める。

組合員による自主的な活動も

コープかがわと言えば、組合員同士で行う様々な「組合員活動(くみかつ)」も大きな特徴だ。毎月届くお試し商品を囲んで親睦を深める「ふれんずクラブ」、展示やワークショップで平和について考える「ピースアクションリレー」、講師を招いての寄せ植え教室や絵手紙教室など活動は多様だ。
注文した商品の受取所「ココステーション」

注文した商品の受取所「ココステーション」

また、組合員が自主的に運営する有償たすけあいシステム「おたがいさま」という活動もある。「体の調子が悪いので掃除を手伝ってほしい」「一人暮らしの親の通院に付き添ってほしい」「話し相手になってほしい」……暮らしの中のちょっとした困りごとを「おたがいさま」の精神で助け合うというものだ。「介護保険などでは補えない、でも誰かにちょっと助けてほしい、そんな部分を埋めてくれる取り組みです。島根県に学んだ『おたがいさま』は、香川の地でも確実に広がっています」

「くみかつ」は、基本的には組合員による自主的な活動。企画や運営も組合員が中心だ。「人と人を繋ぐこと、集まっておしゃべりできる場をつくること。それがコープかがわの役割でもあり、目指すのは『何かあった時に声を掛け合える地域をつくること』。私たちも組合員さんも思いは同じです」。亀井さんは力を込める。

“ありがとうの輪”の中で

 大学を卒業後、1995年に新卒でコープかがわに入った。最初の配属は「宅配」。「日々トラックを運転し、組合員さんに育ててもらいました」。印象深いのは、その後担当した商品部での農産バイヤー。良質の農産物を求めて全国各地を訪ねて回った。今も“コープの産直”にラインナップされている「黄金しょうが」は、当時亀井さんが高知・四万十町の生産者から買い付けたものだ。「しょうがの美しい黄色がずっと残って香りが強い、『しょうがらしいしょうが』です。少し値段は高いんですが徐々にファンも増え、とてもうれしく思っています」
人と人を繋ぎ、何かあった時に声を掛け合える地域をつくる

人と人を繋ぎ、何かあった時に声を掛け合える地域をつくる

コープかがわに勤めてちょうど30年。人と人の出会い、美味しい商品との出合い…「そういう“接点”に立ち会えるのは幸せなこと」とこれまでの歩みを振り返り、こう続ける。

「組合員、生産者、職員…とにかくいい人ばかりなんです。何か『ありがとうの輪』の中で仕事をしている気分です」

今年は国連が定めた「国際協同組合年」。協同組合のことをもっと知ってほしいと亀井さんは繰り返す。「まずは一度、コープの輪に入ってみてほしい。『暮らしや人生のそばにコープがそっと寄り添っている』。そんな存在でありたいですね」

篠原 正樹

亀井 愛知 | かめい やすとも

略歴
1971年 宇多津町出身
1989年 丸亀高校 卒業
1995年 龍谷大学文学部 卒業
     生活協同組合コープかがわ 入協
2022年 代表理事専務理事 就任
2024年 代表理事理事長 就任

生活協同組合コープかがわ

住所
香川県高松市新北町14-27
代表電話番号
087-835-6800(代表)
設立
1966年5月12日
社員数
正規職員255人、定時職員743人
事業内容
宅配事業、店舗事業、共済・サービス事業
事業所
店舗14、支所7、ココステーション20
出資金
84億9164万円(2024年3月末)
組合員数
19万3625人(2024年3月末)
地図
URL
https://www.kagawa.coop.or.jp/
確認日
2025.10.02

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