“移動”を支えるプラットフォーマーへ

トヨタカローラ香川 社長 向井 良太郎さん

Interview

2026.01.01

高松市鬼無町のトヨタカローラ香川本社鬼無店

高松市鬼無町のトヨタカローラ香川本社鬼無店

「豊かなモビリティライフ」目指して

香川県内に9店舗を持つトヨタ車ディーラーのトヨタカローラ香川。2022年に社長に就いた向井良太郎さん(45)は、革新的なやり方で業界に新風を吹き込む、いま注目の経営者だ。

「香川県民の移動手段のメインは約94%が車です。車は絶対的なインフラで、『移動』が経済を支えています。経済を支える“移動のモビリティ会社”として地域に貢献していきたいと思っています」

目指すのは「より豊かなモビリティライフ」。ここで言う「モビリティ」とは決して“車”に限ったことではない。そこが向井さんの新風たる所以だ。「例えば小豆島の人は船で高松に来ても、その先の足がない。ゆめタウンに行けないんですよ」。“移動を豊か”にするため向井さんは、駅、空港、港や自社店舗に、車のほか、電動自転車、電動バイク、3輪ミニカーなど様々なモビリティを置いた。そしてさらに、ある仕組みを加えた。

「マネタイズ(収益化)です」

乗合バスや乗合タクシー、コミュニティバス……人口減少や高齢化が進む自治体などは、地域の足を確保しようと様々な策を講じているが、「マネタイズできず、頓挫するケースは少なくない。おじいちゃんおばあちゃんから、そうお金はいただけないですし……。そこで私たちはマネタイズのポイントを別でつくりました」

注目したのは観光客。「せっかく旅行で来たのなら、もう1000円2000円を使うことへのハードルは高くないのでは」。モビリティを置くスポットに、アプリで予約しシェアする仕組みなどをつくり、前回(2022年)の瀬戸内国際芸術祭で実証実験を行った。ある程度の需要があり、手ごたえをつかんだのと同時に「このモビリティサービスは、ボラティリティ(需要の振れ幅)が大きいことも分かりました。そこでもう一つ、やり方を加えました」。不要品のリユースだ。

自社から出るバッテリーなどの自動車部品のほか、自治体や企業から出る家電や鉄くずなどの不要品を無料で回収、資源として再利用する。「県内の放置自転車の約70%は私たちが回収しています。使えなくなったものでも、使いたい人は世界中にたくさんいるんです」
大阪・関西万博 TEAM EXPO 2025「共創チャレンジ」で登壇

大阪・関西万博 TEAM EXPO 2025「共創チャレンジ」で登壇

“リユースの収益でモビリティサービスを回す”。

目的は儲けることではなく、あくまで地域の移動を無理なく支えることだ。リユース・リサイクル業の株式会社浜屋、電動バイクの開発・販売などを行うFuture株式会社とタッグを組んだこのプロジェクト「MOTTAINAI OSEKKAI(“もったいない”のお節介)」は大阪・関西万博でも発表し、先月「地域創生アライアンス(LCA)」として一般社団法人化した。

現在50を超える地元自治体や県内外の企業がパートナーやメンバーとして名乗りを上げ、モビリティ拠点の提供や不要品回収などで応援している。

マイカーで手軽に「車中泊」

トヨタカローラ香川の社長やLCAの理事長を務める向井さんには、もう一つの顔がある。株式会社レモリフ(ReMoLiHu、Regional Mobility-Life Hub)の社長だ。

レモリフの理念は「地域の社会的な課題の解決」。パートナーのトヨタカローラ香川と一緒に様々な新しいビジネスに挑んでいる。
専用キットでマイカーが車中泊可能に

専用キットでマイカーが車中泊可能に

ユニークで画期的な多くのビジネスが進行中だが、そのうちの一つをご紹介しよう。「車中泊」だ。

フローリング、イスやテーブルなどになる専用キットを販売し、マイカーを簡単に宿泊できるキャンピングカーのような仕様に変えてしまうというもの。「最近はホテル代も高く、気軽に旅をするのが難しくなっています」。道の駅などと連携し、車中泊ができるスポット「RVパーク」の拡大も進める。「瀬戸芸や四国八十八カ所を訪れる人や、ペットを連れて旅行したい人など需要は増えています。観光地じゃなくても車中泊スポットの周辺にはお金が落ちるようになる。地域の活力に繋がればと思っています」

地域活性化のロールモデルに

大学卒業後、トヨタ自動車やトヨタファイナンスで経営のノウハウなどを学び、2012年に帰郷、家業のトヨタカローラ香川に入った。

向井さんには大きな目標がある。「脱ディーラー化」だ。「社名の通り、私たちのマーケットは香川です。香川が元気にならないと私たちのビジネスは伸びません」

ディーラーに留まることなく、「様々な事業で香川を元気にするのが使命。元気になればディーラー業にも繋がり、トヨタへの恩返しにもなります」。さらにその先がある。
2026年は私たちの構想に賛同してくれる“仲間拡大の年”に

2026年は私たちの構想に賛同してくれる“仲間拡大の年”に

「地域活性化の必要性は香川だけの話ではありません。私たちが挑戦していることを全国のディーラーでもやってほしい。地方の企業が地方を活性化させる。そんなロールモデルになれればと思っています」

迎えた新年。
とても大事な一年になると向井さんは話す。

「キーワードは『共創』。リソースもアイデアも一企業でできることは限られています。今年は、私たちの構想に賛同してくれる“仲間拡大の年”にしたい。同業者と競い合うのではなく連携して、一緒に『移動を支えるプラットフォーマー』を目指していきたいと思っています」

篠原 正樹

向井 良太郎 | むかい りょうたろう

略歴
1980年 高松市出身
1999年 大手前丸亀高校 卒業
2003年 学習院大学経済学部 卒業
     トヨタ自動車株式会社 入社
2010年 トヨタファイナンス株式会社 入社
2012年 トヨタカローラ香川株式会社 入社
2021年 ネッツトヨタ高松株式会社 入社
2022年 トヨタカローラ香川株式会社
     代表取締役社長 就任

トヨタカローラ香川株式会社

住所
香川県高松市鬼無町是竹94番地
代表電話番号
087-881-4412
設立
1966年3月16日
社員数
233人(2025年9月1日)
事業内容
トヨタ車の新車販売、フォルクスワーゲンの新車販売、
全メーカーU-car販売、自動車点検・修理、
各種損害保険・生命保険・クレジットの取扱、自動車リース 他
資本金
4000万円
地図
URL
https://www.orangetoyota.jp/
確認日
2026.01.01

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