チャレンジ精神で「NEW四電工」へ

四電工 社長 関谷 幸男さん

Interview

2021.12.02

電気工事実習などを行う四電工・社員研修所の実習室=高松市鶴市町

電気工事実習などを行う四電工・社員研修所の実習室=高松市鶴市町

「地元」+「首都圏・関西圏」

四電工の事業範囲は広い。四国電力グループの一員として、電気を送配電するネットワーク網の工事やメンテナンス。ホテル、店舗、病院、大規模工場からオフィスまで、様々な施設の照明、空調、給排水設備や制御装置の設計・施工……。つまり、私たちの暮らしや社会を支えるインフラを、あらゆる場面で守っているのが四電工だ。

今年6月、社長に就任した関谷幸男さん(60)は「『今日を支え 明日を創る』をスローガンに、四国を代表する“総合設備企業”として信頼されるよう、日々成長していきたい」と意気込みを語る。
安全体感教育メニューの一つ「VR電柱墜落体験」

安全体感教育メニューの一つ「VR電柱墜落体験」

四電工の現在の売上は連結ベースで年間約895億円。関谷さんは今年定めた経営指針で、「5年後の売上目標1000億円」を掲げた。

地元四国でさらに需要を掘り起こしていくのに加え、「営業力や施工体制を強化し、首都圏や関西圏でも受注拡大を目指していく」のが戦略の柱だ。「四国以外での売上は、今は全体の2割ほど。自分たちの身の丈を考えながらも、3割以上に引き上げたいと思っています」

組織面では「原価管理室」を機能強化し、「資材調達を含め、原価管理を一元化した結果、利益率が大幅に改善しました」。また、首都圏・関西圏での再開発事業や高速道路照明の設備工事など大型プロジェクトが好調で、今年9月の中間連結決算では過去最高の売上と純利益を記録。「売上1000億円」に向けて順調なスタートを切った。だが、「“最大瞬間風速を観測”しただけにならないよう、気を引き締めていきたい」。関谷さんは口元を引き締める。

“蹴らない”選択肢はない

リニューアルした作業服・ヘルメット(左)と事務服

リニューアルした作業服・ヘルメット(左)と事務服

出身は松山市。東京理科大学工学部を卒業後、四国電力に入った。主に配電畑を歩み、電力の「発電」「小売」の自由化で注目を集めた「電力システム改革」では、「送配電部門の法的分離」に備えて奔走。昨年4月に事業を始めた新会社「四国電力送配電」の船出を支えた。

モットーは「誰もやっていない新しいことにチャレンジする」

以前とは全く違う予算配分のやり方を取り入れた。20年ほど前に南海地震対策を任された際には、唯一公表されていた「震度」を「地震加速度」に置き換え、加速度に伴って導き出される設備被害や、堤防の高さから浸水被害を想定した。

「たとえ何も変えなくても、問題なく進んでいくのかもしれない。でもヒントを見つけた時にどう動くか。“差別化”とは、そういうところから始まるんじゃないかと思う」と、信念を熱く語る。「だって、目の前にボールが転がっているのに、“蹴らない”という選択肢はないでしょう」

「やりたい」と言える環境に

四国電力から四電工に移り、まもなく2年。関谷さんが力を入れる試みの一つに「安全体感教育」がある。

作業中の事故やトラブルを疑似体験するもので、人形などを使って、高圧線に感電したり油圧装置に挟まれたりする事象を再現するほか、VRゴーグルを装着することで、電柱からの墜落や高所作業車の転倒などをリアルに体感することができる。

約20種類ある教育プログラムの受講は、社内やグループ会社だけにとどまらず、同業他社にも開放している。「設備や建設工事には“危険”や“きつい”というイメージがあり、人手不足も深刻。安全意識を一緒に高めて、業界全体をもっと盛り上げていきたいと思っています」

今年10月には、30年ぶりに制服を一新した。四電工と言えば「ブルーの作業服」がすっかり定着しているが、さらに鮮やかなブルーを採用。軽くて丈夫で動きやすいなど、機能性や安全性を重視した。「世間的にもなじみのある制服を変えるのは、正直勇気が必要だった。でも心機一転、目指すは『NEW四電工』です」

見た目の変化以上に、関谷さんが社員に求めているのが「心の変化」だ。

比較的、真面目で大人しい社員が多いと感じるが、「縮こまらず、どんどんチャレンジしていってほしい」と呼びかける。「『上司がこう言っているから、こうしよう』という姿勢は良くない。大切なのは、誰が正しいかではなく、『何が正しいか』。新たな試み全てに良い結果を期待しているわけではないし、失敗したっていいんです」

関谷さん自身、四電工でもう一度生まれ変わる覚悟だという。「これまでは自分が思うこと、感じることをストレートに表現してきた。でも、社長となるとそうはいかない。社員が『これをやりたい』と言える環境をつくり、みんなでバックアップしていく。そんな会社にしていきたいと思っています」

篠原 正樹

関谷 幸男|せきや ゆきお

略歴
1961年 松山市生まれ
1979年 松山東高校 卒業
1984年 東京理科大学工学部電気工学科 卒業
    四国電力株式会社 入社
2014年 お客さま本部配電部長
2016年 執行役員 電力輸送本部配電部長
2018年 執行役員 送配電カンパニー配電部担当
2019年 常務執行役員 送配電カンパニー社長補佐
2020年 株式会社四電工 電力本部参与
     代表取締役専務取締役 電力本部長
2021年 代表取締役社長

株式会社四電工

事業内容
【建築設備工事】
電気、計装、情報通信、防災・防犯、空調、給排水、衛生、水処理、管渠土木

【電力供給設備工事】
架空送電線、架空配電線、地中送電線、地中配電線、電力土木・共同溝
所在地
高松市花ノ宮町2丁目3番9号
TEL:087-840-0230/FAX:087-840-0231
設立
1963年5月1日
資本金
34億5125万円
従業員数
2032人(2021年3月)
地図
URL
http://www.yondenko.co.jp
確認日
2021.12.02

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