音楽文化育む “元気玉の拠点”へ

高松フェストハレ 総支配人 和田 年美さん

Interview

2026.02.19

高松フェストハレのステージで=高松市常磐町

高松フェストハレのステージで=高松市常磐町

目の前に“推し”がいる

全国ツアーを行うロックバンドなどを中心に年間約55本、週1本以上のペースで音楽ライブを開いている高松フェストハレ。ことでん瓦町駅に隣接する絶好の立地で、地元はもとより全国から音楽好きの老若男女が集まってくる。「汗が飛び散るほど近くの、わずか数メートル先に自分の“推し”がいるんです。お客さんは嬉々として、汗びっしょりになって大興奮です」。総支配人の和田年美さん(75)はライブの魅力を熱く語る。「ライブが終わるとお客さんが『ありがとう』って声をかけてくれます。それがまたうれしいんですよね」

フェストハレは2016年3月、音楽イベントを行うデュークが中心になって立ち上げたライブハウス。長年、テレビ番組や様々なイベントで照明の仕事に携わっていた和田さんに、旧知の仲だったデュークの会長、宮垣睦男さんから声がかかった。「『マネージャーがいないので、スタートの5年くらい面倒を見てもらえないか』と。宮垣さんとは同郷(大分)で、同じ大学に通っていた縁もあったんです」

照明の仕事をしていたとはいえ、ライブハウスを運営するのとは勝手が違う。「不安が大きかった。でも、やってみると面白いんです」。最初は、自分が持つ照明の技術で「ライブを演出してやろう」という思いもあった。だが、「いま振り返ると、なんておこがましい考えだったんだ、と思いますね」。アーティスト、音響、照明、運営スタッフ……それらは別々ではなく、“一つ”だった。「みんな同じ立場。一緒になって一つのライブをつくりあげていく。その先に、アーティスト、スタッフ、お客さん……みんなの満足があるんですよね」
ライブの様子

ライブの様子

“満足”を生み出す要因の一つが、最新鋭の音響や照明の設備だ。技術者出身の和田さんだからこそ、機材へのこだわりは譲らない。「昨年秋に照明器具と照明卓を総入れ替えし、音響卓も最新のものに更新しました。どこのライブハウスにも引けを取らない全国レベルの演出が可能です」

四国、香川の音楽文化を育んできたフェストハレは来月、開業10周年を迎える。当時、和田さんが宮垣さんと交わした「5年」の約束はとっくに過ぎている。が、「このままでは終われない。そんな『心残り』があったんです」

新型コロナウイルスだ。

観客60人……コロナ禍を乗り越えて

「ライブハウスは“悪の巣窟”だと言われましたからね」

2020年1月に日本で初めての感染者が確認された新型コロナ。叫ばれたのは「ソーシャルディスタンス」だった。フェストハレの収容人数は、オールスタンディングで中四国最大級の約950人。しかし、「半年閉館したあと、60人で再開しました」
ライブハウス「高松フェストハレ」

ライブハウス「高松フェストハレ」

当然、経営が成り立つわけはなかった。でも、和田さんはライブを続けた。「コロナ禍でも出演してくれたり、寄付をしてくれたり。アーティストやお客さんには、ずいぶん助けてもらいました」。フェストハレがオープンして4年が過ぎていた。そして……「5年目に入ってもなかなか元には戻りませんでした」

この状況のまま、後進にバトンを渡すことはできない。「もうちょっとやらせてもらえないか」と宮垣さんに相談すると……

「『どうぞどうぞ、気の済むまでやってくれ』と」。和田さんは笑顔で話す。

上下真っ赤で走り回る

2016年3月13日、「ゲスの極み乙女」のこけら落としライブで幕を開けたフェストハレだが、実はこの3日前、“シミュレーションライブ”が行われていた。「みんなが飛び跳ねても床が抜けないかなど、この場所でちゃんとライブができるのか、お客さんを500人くらい招いてシミュレーションしたんです」。ステージに上がったのは、徳島など四国を拠点に活動するコミックバンド「四星球(スーシンチュウ)」。ライブ中、ボーカルの北島康雄さんが言った。

「10年後、もう一度演らせてもらえませんか?」

その後、四星球はフェストハレの常連バンドに。そして、シミュレーションライブからちょうど10年後の2026年3月10日、約束通り、この場所に帰ってくる。

「当時と同じ4人のメンバーで、地元を中心に今も変わらず頑張っている。こんなに感慨深いことはないですね」
最新鋭の音響、照明……どこのライブハウスにも引けを取らない

最新鋭の音響、照明……どこのライブハウスにも引けを取らない

フェストハレに来たことがある人はご存じだろう。ライブ時、和田さんは上下真っ赤の服で会場を走り回っている。「本来スタッフは裏方なので、目立たないよう黒い服を着るのが一般的です。でも私はあえて一番目立つ赤。『何か問題があったら、あの赤い人に聞いて』と。アーティストもお客さんもこれでスムーズに回るんです」

この日も取材に合わせて上下赤の和田さん。誰よりも赤が似合う75歳、だと思う。

「お客さんには何としてでも喜んで帰ってほしい。その姿を見ることで、私自身も元気をもらっています。みなさんの活力を生む“元気玉の拠点”になれるよう、これからもまだまだ頑張っていきます」

篠原 正樹

和田 年美 | わだ としみ

略歴
1950年 大分県出身
1968年 大分県立竹田高校 卒業
     株式会社四国舞台テレビ照明(高知本社)勤務などを経て
2016年 高松フェストハレ 取締役総支配人

高松フェストハレ

住所
香川県高松市常磐町1-3-2
代表電話番号
087-802-2722
設立
2016年3月13日 開業
社員数
2人
事業内容
音楽ライブハウス
資本金
900万円(株式会社ヘイマーケット)
地図
URL
https://festhalle.jp/
確認日
2026.02.19

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