若者が集まるまちの先進例
原動力は「楽しむ」こと!

さぬき市津田地区まちづくり協議会 理事 安芸 青児さん

Interview

2025.02.06

地域おこし協力隊の採用過程での現地フィールドワーク

地域おこし協力隊の採用過程での現地フィールドワーク

前身は2020年、農林水産省の農泊事業に伴って発足した「さぬき市津田地区漁業活性化協議会」。2年間の活動終了に当たって「地元有志の活動を続けてみよう」と意気投合した4事業者が中核となり、「津田町の365日をデザインする」をコンセプトに、まちづくりや関係人口創出、にぎわい創出、地域おこし協力隊受け入れなど、柔軟な姿勢で津田のまちの活性化に取り組んでいる。

「活動には地域の協力と理解が不可欠でした」と安芸さん。まずは会のことを知ってもらおうと立ち上げたのが、使われなくなった漁業倉庫をリノベーションした海辺のピザ店『ポルトピッツァ』だ。改装は自分たちの手で行い、イタリアンのオーナーシェフとして長年腕を振るい現在はカフェを経営する安芸さんが飲食のノウハウを提供、スタッフには地域おこし協力隊を起用することにした。

移住スカウトサイトを通じて全国に募集をかけ、最終面接はさぬき市で3泊4日の短期滞在というユニークな選考を実施。「書類や面接だけでなく、実際にまちを歩き人々とふれあうことで相互理解が深まります。結果的に採用されなかった人にも、私たちのまちを『いいな』と思ってもらえるチャンスになれば」。実際、最終面接に残った5人のうち4人はその後さぬき市に定着した。この募集をきっかけに移住スカウトサイトで東讃の知名度が急上昇、「若い人たちと直接つながる貴重なプラットフォームになった」と手応えを感じており、実績を生かして県の地域おこし協力隊募集にも協力している。

22年8月に協力隊が着任、約半年の準備を経て、ピザ店は23年5月に本格オープン。周辺は漁業施設を再生した新店が増えつつあるエリアとして活気づいている。ピザ店の成功を皮切りに、現在は絵本作家を招き、津田をテーマとする絵本をつくるプロジェクトが進行中。津田の松原90周年、瀬戸内国際芸術祭、道の駅の改修など、さまざまな行政の事業にも「地元目線」でかかわっていく見通しだ。

精力的な活動は県内外から注目を集め、視察も多い。「津田は先進的だというイメージができつつあること自体が一つの成果。子供の頃からまちを見ているから、時代の変化は否応なく実感します。ないものねだりや失ったものを嘆くより、津田の土地や人や文化、まちの現状を踏まえて『真剣に楽しむ』姿勢こそが大事だと思う」

会の理事・監査5人は本業の事業形態も性格も世代も異なり、飲食やDIYのノウハウ、商工会や観光協会とのつながり、行政との連携、地元の人間関係など、各自の得意分野がバランスよく会の活動を支える。「意見が対立することもあるけれど、気が合うメンバー。もちろん私たちだけでなく、会の活動にかかわる人たちみんなを『仲間』と思って、やりたいことを実現するために知恵を出し合っていきたい」。意思決定力とフットワークを強みとする少数体制を軸に、地域を広く巻き込んだ大きなうねりを生み出そうとしている。
まちづくり協議会の定例会

まちづくり協議会の定例会

戸塚 愛野

一般社団法人 さぬき市津田地区まちづくり協議会

住所
香川県さぬき市津田町鶴羽1520番地130 日本ドルフィンセンター内
代表電話番号
0879-23-7623
地図
URL
https://sanuki-tsuda.jp/
確認日
2025.02.06

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