新たなソリューション提案で
地域の連携と発展に貢献したい

三菱電機 受配電システム製作所 所長 吉田 大輔さん

Interview

2025.02.06

大学時代は放電・プラズマ研究に打ち込んで大学院まで修了、学んだ知識を活かせる環境を求めて三菱電機に出会った。大規模な変電所で使う高電圧遮断器の設計現場を見学した際、案内してくれた当時の課長のリーダーシップや論理的な仕事ぶりに魅せられて入社を決意。電力の需要が大きく伸びたバブル直後の業界でキャリアをスタートした。

学びを活かせる環境で 開発からマネジメントへ

「より高い電圧や大きい電流が求められた時代でした」と振り返る当時の吉田さんは、伊丹製作所の遮断器設計課で開発設計を担当。遮断器は大型の漏電ブレーカーのようなもので、電気を切る際に放電が起きる。吉田さんにとって大学での研究に直結する分野だ。機械工学、流体力学、物理化学、有機化学などさまざまな知識が求められる社内でもアカデミックな部門で、「三角関数や微分・積分をバリバリ使う毎日で、大学時代はまだまだ勉強不足だったなと思ったほど。すごいところで仕事ができるんだと実感しました」

量産前の試験から開発の上流へと着実にスキルを磨き、「開発者としての集大成」と語るのが、30代で手掛けた日本で一番電圧の高い電力系統用のばね操作遮断器だ。入社当初の遮断器は油圧式だったが、小形・軽量化と操作装置の高出力化によってばね操作を可能にしたもので、図面から試作、製品化までの主担当を務めた。これ以降はマネジメント業務に軸足が移ったものの、開発の現場に精通した知識や経験はキャリアのいしずえとなった。

2010年から、系統変電システム製作所開閉機器製造部で遮断器設計課や開閉装置開発課の課長、同部次長、品質管理課長を歴任。開発設計のほか製品設計や遮断器以外も含めたより大きなシステムなどにかかわる中で視野を広げ、17年に同部部長に。キャリアを積むかたわら、海外出張や学会での調査活動をはじめ、社外にもさまざまなネットワークを積極的に育んだ。「専門性と人の魅力にひかれて入社し、必死で周囲についていきながらも充実した毎日でした」と述懐する。

先を見据えた挑戦を!

21年4月、受配電システム製作所開閉器製造部の部長として香川・丸亀に着任し、23年から所長を務める。「時代がものづくりからコトづくりに移行する中で、デジタルエンジニアリングの強みを生かしたソリューション提案に努めたい」と、まずは自社でIoTを取り入れたリモート定期点検や太陽光発電の他拠点利用などの受配電ソリューションを検証中。ものづくりのパートナーとして密な連携を図る受配電システム製作所のサプライヤー協力会「蓬莱会」をはじめ、地域のつながりを大切にするのも同製作所の特長で、コロナ禍で中断していたCSR活動も少しずつ再開しているところだ。「短期的に物事を考えず、最終的なイメージを実現するには今何をすべきかを見極め、次世代への道筋をつけるのが私の役割だと思っています」

中学・高校と硬式テニスをたしなみ、社会人になってからもスキーやパラグライダーなどアクティブなオフを過ごすタイプで、今も週末はゴルフやドライブを楽しむ。初めての単身赴任生活を「香川は気候がよく、工場は海辺で景色が抜群。地元・関西も近い理想的な赴任地」と語り、「ここで地域企業や市・県の発展に貢献できるよう、私たちも成長していきたい」と意気込む。

戸塚 愛野

吉田 大輔 | よしだ だいすけ

略歴
1970年 兵庫県生まれ
1994年 京都大学大学院工学研究科 卒
    三菱電機株式会社 入社
2013年 同 系統変電システム製作所 開閉機器製造部 遮断器設計課 課長
2015年 同 系統変電システム製作所 開閉機器製造部 開閉装置開発課 課長
2017年 同 系統変電システム製作所 開閉機器製造部 部長
2021年 同 受配電システム製作所 開閉機器製造部 部長
2022年 同 受配電システム製作所 副所長 兼 開閉器製造部 部長
2023年 同 受配電システム製作所 所長

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