SDGsをテーマに 支援のすそ野を広げたい

公益社団法人セカンドハンド 理事長 大津佳裕さん

Interview

2022.08.04

香川県庁でキャリアをスタート。県病院局長として県立中央病院の新設移転を担当し、着工直後に発生した東日本大震災にまつわる混乱の渦中で指揮を執ったこともある。商工労働部長、健康福祉部長、総務部長を歴任した後、16年からかがわ産業支援財団の理事長に。地域の経営者をサポートし、数々のヒット商品誕生にも貢献した。

初の経済畑出身理事長

21年3月の退任後も社会に尽くしたい気持ちはあったが、具体的なアイデアは浮かばず、半年ほどのんびり充電していたところへ、セカンドハンドの理事長にならないかと声が掛かった。声を掛けたのは、前理事長の三木誠さん。セカンドハンドは28年にわたってカンボジア支援に尽力する一方、知名度向上と活動の拡大には課題も感じており、「創立者の思いを受け継ぎ、新たな層の賛同者を開拓していく上でも、先入観のない人がいい」と大津さんを指名した。ビジネス系からは初の就任だ。大津さん自身は「国際協力や国際交流はほぼ素人で戸惑いもありましたが、活動自体は非常に意義深いし、ボランティアの場であると同時に経営の場でもあるショップ運営にも興味をひかれました」と振り返る。

12月から週2~3回チャリティーショップの店頭に立ち、事務作業などもこなしながら少しずつ活動のことを学んで、「世の中のためになる」と確信。22年6月、正式に理事長に就任した。

情報発信と提案で 活動をもっと身近に

セカンドハンドは、寄付・寄贈された商品を高松市内3カ所のチャリティーショップで販売し、その収益でカンボジア支援や国内外の人材育成・被災地支援などに取り組んでいる。商品やお金の寄付は年間約2900件、自立支援の一環でカンボジアの女性たちが働く縫製工場に高松市内の保育園の制服を発注したり、子ども食堂を支援するためのチャリティーバザーを開いたり、活動内容も多岐にわたる。

築いてきた成果を次のステージにつなげようと、今後はSDGsを大きく掲げ、セカンドハンドとの協働が企業にとって社会貢献につながることを前面に打ち出していきたい考えだ。「これまでも自社商品や使用済み切手などをご提供くださる協賛企業はありましたが、まだまだ国際協力は『別世界のこと』と思われがちです。私たちが具体的にどんな仕組みの下、どんな活動をしているのか、もっときちんと打ち出して、支援のすそ野を広げたい。積極的な提案を通じて、身近な活動だと気づいていただければ」。地域と深くつながり、ニーズと供給を結びつけてきた産業支援財団での5年間が生きるのではないかと期待を込める。

「退職後は特に、社会との接点が大事だと感じます。単純に、人と喋るのは楽しいですね。ショップにお客さまが来てくれるとうれしいんですよ」。飾らない笑顔からは、自然体で慕われる人柄が伺えた。
セカンドハンド高松店で、理事の三木さん(左)と

セカンドハンド高松店で、理事の三木さん(左)と

戸塚 愛野

大津 佳裕 | おおつ よしひろ

1956年 さぬき市生まれ
1979年 広島大学政経学部(当時)卒業
    香川県 採用
経済労働部商工課(当時)配属
2008年 政策部次長
2010年 病院局長
2012年 商工労働部長
2013年 健康福祉部長
2015年 総務部長
2016年~2021年 かがわ産業支援財団 理事長
2022年 6月 セカンドハンド理事長

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