介護の在り方を変革し 生き生き働ける場をつくる

松 代表取締役社長 松村 幸太さん

Interview

2022.08.04

サッカー一筋の高校時代を経て、理学療法士へのあこがれから福祉業界へ。関西で作業療法士として3年ほど働いたのち帰郷した。関西圏に比べて在宅ケアサービスの浸透が大きく遅れていた香川の状況を目の当たりにしたことが、新たな訪問看護サービス立ち上げのきっかけとなり、訪問看護・介護ステーションの運営をスタート。「地域の困りごと」と「まだ誰も進出していない分野」をキーワードに、意欲的に新規事業を開拓し続けている。

厚生労働省が唱える定期巡回・随時対応サービスを知ったのは、起業間もない10年前のこと。地域医療と連携した訪問看護、定期的な巡回型介護、利用者の緊急相談に24時間365日体制で応える随時対応・訪問を組み合わせた、新しい在宅サービスだ。要介護度が上がった時の選択肢が施設しかないことに疑問を感じていた折、すぐに「これだ」と直感したが、当時は高松市の公募に選ばれなかった。市の認可を受けて本格的に取り組み始めたのは、2022年2月。「人が育っていないと不可能な事業ですから、ノウハウと人材を育んでから始められたのは結果的によかった」

現在の同社は、作業療法士・理学療法士・看護師らエキスパートが30人以上そろう、医療機関並みの層の厚さが強み。特に定期巡回・随時対応サービスは不測の事態に常時対応できる体制が求められるが、「定期訪問で予後の予測がきちんとできていれば、不測の事態は少ない」と松村さん。「遠隔地の利用者さんが多いからこそ予後予測の精度も上がり、自立支援が自然と進む。『介護をしないのが介護』とも言える、新しい在り方です。今の体制で高松の在宅サービスを支える自信はありますから、行政と協力して地方都市の先進事例となり、高松モデルを全国に広めていきたい」

「人は宝」を信条に職員第一主義を掲げる松村さんは、効率重視の経営では看護師や介護士が流れ作業に陥りがちだと指摘し、まったく畑違いの人材をゼロから育てる仕組みを模索。そこから誕生したのが、サッカー選手のセカンドキャリア形成だ。同社やグループ会社の社員となり、チームでプレーするかたわら、福祉の実務経験を積んで資格を取得。現役選手を引退した後も福祉業界で実践的なキャリアが築ける流れを確立した。

自身を「半ば投資家のようなもの」と言う通り、鍼灸・あん摩マッサージや言語聴覚士といった有資格者から、シンガーソングライターや映画監督の夢を持つ人まで、ユニークな人材が集うのも同社の特徴。多彩な個性にシナジーを見出し、柔軟に新事業につなげていく。「型にはめて考えないのがいいのかもしれませんね。一人一人の思いと夢が叶うよう応援し、みんなが生き生き働ける仕組みをつくって、地域課題を解決する新しいアイデアを生み出していくのが僕の仕事です」

戸塚 愛野

松村 幸太 | まつむら こうた

略歴
高松工芸高校から大阪医専に進学、卒業後は作業療法士として関西のクリニックに勤務。2012年に株式会社松を立ち上げて現在に至る。

株式会社松

住所
香川県高松市福岡町4丁目20番8号
代表電話番号
087-802-5335
設立
平成24年1月5日
社員数
110名
事業内容
訪問看護/訪問介護/相談支援/定期巡回・随時対応サービス
地図
URL
http://matsu-h.jp/
確認日
2022.09.15

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