“自分が主役”になれる場をつくる

株式会社 DaRETO(だれと) 城石果純さん

Interview

2019.04.04

出産を機に2011年に愛知から小豆島に移住。17年に、小豆島の若手育成事業や企業研修プログラム作成、企業のブランド構築、インバウンド事業などを行う株式会社DaRETOを立ち上げた。

きっかけは、人手不足に悩む経営者から「なんとか地域全体で若者を育てられないか」という声を聞いたこと。そこで、起業と同時に「しまの塾」という事業を始めた。しょうゆ蔵や宿泊施設、レストランのオーナー……など、小豆島を舞台に現地に講師を訪ね、話を聞く。話を聞いた後は、何を考え、仕事にどう生かすかを参加者と共有しながら、行動力・問題解決力・コミュニケーション力を磨いていく。
ヤマロク醤油での「しまの塾」

ヤマロク醤油での「しまの塾」

塾は1年間のプログラムで、受講生は企業からの研修という形で参加する。中には商品の定期購入を会社に提案し、チラシやDMを作成して販売するなど、実際に行動を起こした人もいるという。

「“知の地産地消”を目指して講師は地元の人。自分の価値観が明確な人。講師の人間的な魅力に触れた受講生が主体的に行動するようになると嬉しい。その変化が今じゃなくてもいつか会社や地域の力になる。きっかけづくりをしたいと思っています」

自分と家族がイキイキ過ごせる場所へ

教育熱心な家庭に育ち、小学生のころの習い事は週5、帰ったら宿題以外に親がつくったドリルをこなすという生活だった。高校に入ったころから「いい大学、いい会社に入ることが幸せ」という価値観に違和感をもち始め、進路は自分で決めたが「その選択は親の許容範囲内。就職後の勤務地も結局地元。子どものころから『~しなければならない』と自分を抑える部分が残っていました」

変わっていったのは、23歳の時に結婚した夫の影響が大きいという。「どうしてその会社なの」「なぜここじゃなきゃ住めないの」。当たり前だと思い込んでいたことを一つひとつ突き詰めていく中で、長男が2歳になるころ、子どもがイキイキ過ごせる環境を目指して移住を決めた。
家族で秋祭りに

家族で秋祭りに

「当初は、勤めていた会社の別部署に異動という形で仕事も続けたので、育児と自分が描くキャリアとの両立に悩み、これでいいんだろうか、って」。島から高松に通勤、出張などで帰りが遅くなる時は子どもの保育園のお迎えは夫に行ってもらい、最終便で果純さんが家に帰ると夫は会社に戻る。そんな生活が2年続いた。

「大変でしたが、家族みんなで踏ん張って生活の土台を築いた感じ」。長男の小学校入学1年前に夫が会社を辞め、ピザの移動販売を始めた。2年後、果純さんも退社し起業した。

新たな挑戦

悩みながら、自分らしい生き方を模索してきた。その経験から新たな事業「ジブンgotoプロジェクト」を18年から仲間とともに始めた。小豆島だけではなく、県外の受講生も対象に心理学に根差したワークショップをオンラインで行う。自分は何に価値を見出すのか、どういう人生を送りたいのか、徹底的に内面を見つめ直すプログラムをつくった。

新たな取り組みも考えている。「私自身がそうでしたから、女性が働く大変さはよくわかります。それをサポートしたい」。まわりには、休みづらいなど職場の風土に悩んでいるママ友も多い。自身も一度は組織の中で働き、キャリアと自分らしい生き方の両立をあきらめた。「仕事、家庭、自分、それぞれにどれくらいの力をかけられるかは、人生その時々で違います。その節目で何かをあきらめずにすむような場づくりに挑戦したいと思います」

石川恭子

城石 果純 | しろいし かずみ

略歴
1984年 愛知県生まれ
2003年 愛知県立旭丘高校 卒業
2007年 早稲田大学人間科学部 卒業
    株式会社リクルート 入社
2012年 株式会社リクルートライフスタイルに分社化
2016年 同社退社、個人事業主として独立
2017年 株式会社DaRETO 創業

株式会社 DaRETO(だれと)

住所
香川県小豆郡土庄町肥土山甲1835
代表電話番号
0879-62-6064
設立
2017年
事業内容
地域・教育事業(しまの塾、企業内ワークショップなど)、コンサル・制作事業、インバウンド事業

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