卒業、そしてまだ見ぬ世界へ

株式会社DaRETO 城石果純

column

2021.06.17

2011年9月に小豆島に移住してきて、11年目になる。今の家は、私の人生で最も長く暮らした家となった。

2歳だった長男は中学生になり、島で3人の弟が生まれた。彼らは友人と話す時、小豆島弁を使っている(家では島弁ではない)。英語の授業では「I'm from Tonosho.」と話しているようだ。以前、都市部にある実家に帰省したときは「(祖父母に)電車で静かにしなさいと言われ続けて疲れた」と言って島に帰ってきた。

はじめの3年間は高松へ船通勤もした。子育てとの両立など多忙すぎて海の上でもパソコン広げていたけど、これが癒しの時間だった。三男出産後は、目指す生き方とキャリアの両立ができなくなり退職して独立。島や人の魅力を活かす会社「株式会社DaRETO(だれと)」を立ち上げた。

まずは「しまの塾」というプログラムで起業。地域の資源を活かし、地元の方たちを講師にして地域をまるごと学びの場とする人材育成事業だ。その後、企業での人材育成、SNSやネットの運用、ディレクションやコーディネート、ライティング、地域おこし協力隊向けの起業伴走プログラムなどに携わった。

コロナ禍を経て5期目となった今年、取り組みがようやくうまく回り始めた感覚がある。地元との交流を通じて人を紹介されたり、実績が認められて次につながったりと、輪が広がっている。今までの経験から、大都市の子どもたちに向け島での子育ての魅力を凝縮した「島遊び」のプログラムを「瀬戸内チャレンジャーアワード」(※)でプレゼンし、グランプリを受賞した。

子どものころからまだ見ぬ世界に飛び込むのが好きだった。小豆島暮らしを通じて、自分らしく生きるとはどういうことなのか、嫌というほど考えた。たくさんの人に出会い、美しい景色を見て美味しいものを食べた10年間。そんな時間を過ごした小豆島は、大好きで大嫌いな恋人のような存在だ。

2年間連載させていただいた本コラムも今回で卒業です。これからも香川を一緒に盛り上げていきたいと思います。

※地方創生起業家の発掘・育成を目的に「(公社)ジャパンチャレンジャープロジェクト」が全国で開催

城石 果純 | しろいし かずみ

略歴
1984年 愛知県生まれ
2003年 愛知県立旭丘高校 卒業
2007年 早稲田大学人間科学部 卒業
    株式会社リクルート 入社
2012年 株式会社リクルートライフスタイルに分社化
2016年 同社退社、個人事業主として独立
2017年 株式会社DaRETO 創業

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