島に学校が戻って来た!

工代 祐司

column

2025.06.05

入学式で校歌を歌う島民合唱団の皆さん

入学式で校歌を歌う島民合唱団の皆さん

瀬戸芸の春会期、今回はじめて会場になった坂出市の瀬居島に向かいました。メイン会場は廃校になった小学校と中学校。島の東部にある中学校はつい昨年3月まで現役の学校だったのです。校舎のいたるところに生徒たちの息遣いが感じられ、作品鑑賞以前に学校が放つ存在の重さに気おされてしまいました。

香川県では2000年から2024年の25年間に、小中学校の児童生徒数は23.3%減少し、それに伴い学校数は24.2%減少しました。特に離島の学校数は41.0%減少し、現在、小学校が14校、中学校は9校となっています。

そんな中、今春、とてもうれしいニュースが届きました。休校中の丸亀市立広島小中学校が再開することになったのです。2家族の島への移住に伴い、小学生3人、中学生1人の計4人が入学するのです。
4月10日、再開校式・入学式が南に海を望む同校体育館で行われ、私も参加させていただきました。十数年ぶりに響く子どもたちの元気な声、連日練習を重ねた島民合唱団が歌う校歌、自治会長さんの歓迎の言葉、心温まる式典でした。

校長の高井先生は2年前、隣島の小手島中学校が休校となる直前の校長。学校の再開への感慨はひとしおではなかったでしょうか。

このたび開校に尽力された皆さんが今後、学校を核に島全体を元気にしていきたいという熱意をお持ちで、素晴らしいことだと感銘を受けました。離島にとっての学校は、ただ子どもが勉強するためだけの場所ではないということです。

2014年に再開校した高松市の男木小中学校の例をみると、島民の皆さんが「男木島、未来の教育プロジェクト」を立ち上げ、学校と連携して島の特色を活用した教育の方向性の検討と実行を進めてきました。このような実践が島全体の活力を高め、移住希望者の増加にもつながりました。

広島では島の未来に向けた取り組みが、地元有志や企業・団体、丸亀市の協力のもと進められています。軌を一にした学校の再開は島暮らしに安心感を与え、移住者を呼び込み、世代を超えた連帯をもたらす役割を担っていくでしょう。そういう学校と地域の互恵の姿を心から期待しています。
(文・写真 工代祐司)

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