
人間は、生まれてから数多の体験を経て成長する、と思う。歯磨き、着替え、学校生活、授業、反抗、恋愛……。物理的、精神的触れ合いとモノも含めた対象への感情など、同じようなことでも、時間、年齢、場所、一緒に居た人などにより、個々人の体験の質・内容は異なる。同じ本を読んでも、年齢を重ねて読み返すと感じ方は変わるし、同じイベントに参加しても大切な人と一緒だと新たな感慨が生まれる。直接的な体験とそれを自分の中で消化、深化していく過程は、とても大切だ。「楽しかった~」だけで十分であって、それが「学ぶ」ということかもしれない。学校での日々の生活は体験の連続でもある。
幼い頃、両親、祖母、親戚の年長者などから「一生勉強。」と言われたことを思い起こす。その言葉を今に置き換えると「体験を糧に次へ、前へ、そして謙虚に」ということだろうか。
県は、建築家・安藤忠雄氏から寄贈された子ども図書館船「ほんのもり号」の運航を始めた。来年3月の「かがわマラソン」のボランティアを募っている。瀬戸内国際芸術祭、かがわ総文祭2025、各地域の祭りやイベントなどなど、様々な体験の機会は、地域に数多くある。
香川の景色を見ながら、子どもたちだけでなく、多くの方々に、日常に、何かの体験を加えていただければと思う。参加してみると案外、楽しいし、見るだけでも貴重な体験だ。
日々、無意識に体験を重ねながら生きている。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、そういう中に、それぞれの人生がある。様々な体験を通じて、他者への思いやりと想像力を培い、単純な答えのない社会を深い対話によって切り拓く。大切にしたい。
香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎
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