成長を促す営み

香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

column

2024.06.06

就任後1年が経過し、年度末、卒業の時期と、その後の年度初め、入学の時期を教育行政に携わる立場で経験させていただいた。

それぞれの思いを胸に卒業という節目を迎える児童生徒、それを学校という場所を通じて見守ってきた教師、心配の方が多かったけど成長もしたよねと感慨深い保護者。家族はもとより友、師との触れ合いの中で過ごす時間は貴重だ。しかし長い人生で言えば、ほんの数年のことである。

桜が残り春爛漫の景色での入学式は、希望という言葉がピッタリの舞台となった。たくさんの荷物を持ち登校する小学1年生の姿に「気をつけてな」と心から思う。

卒業・入学シーズンを過ごしながら自分や出会った方々の歩みにも思いをはせる時、かりゆし58の「オワリはじまり」の歌詞が脳裏に浮かんだ。
『もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい 親友と語り合ったかい 燃えるような恋をしたかい 一生忘れないような出来事に出会えたかい かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい』

学校は教育の場である。成長を促す営みがそこにはある。教師たちの子どもたちと向き合おうとする姿、授業で心を揺さぶるために精励しようとする姿は尊い。多忙な中でも、子どもたちの言動に成長を感じると嬉しくなるだろう。成長途上の子どもたちは、色んなぶつかり方もしてくる。周囲の理不尽な言動にさらされることもある。そういう日々を積み重ねた1年。心が折れそうになったこともあるだろう。それでも、卒業・進級の際に、子どもたちから真心のこもった感謝の言葉を聞き、改めてまた1年を始める。多くの出会いがあり、時間の長短だけでは語れない琴線に触れる出来事も確かににあったし、これからもあるはずだ。

時代は変わり、社会は著しく変化する。様々な環境の子どもたちがいることも事実。コロナもあった。先端技術の高度化などもあるが、人格と人格が触れ合う中で成長を促す営みである教育の本質は変わらないと思う。共感し共生すること。

いつまでも「青いこと」をとお叱りを受けるかもしれないが、新たなスタートを切った、節目を迎えた子どもたちへ――「かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい」

香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

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香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

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