災害に強いインフラ整備は四国島を救う

column

2024.06.20

2024年元日の能登半島地震は、南海トラフ地震後の四国島を見るようである。半島内の道路が各所で寸断され、孤立集落が多発した。道路が復旧しなければ、救援や支援が滞るだけでなく、電気、通信、上下水道、ガス等のライフラインも復旧しない。また、ライフラインが復旧しなければ、被災地では難民キャンプよりひどい生活環境が続き、支援者の受け入れも滞る。

能登半島地震では、全国から支援の手が差し伸べられているが、南海トラフ地震では、国民の約半数が被災者になるので、普段でも交通の便の悪い四国島に手厚い支援が届くことは期待できない。

では、南海トラフ地震後の四国島の救うために、今から何をすればいいのだろうか?もちろん、住宅の耐震化は最優先で、避難者を受け入れるために安全な土地に耐震性の高い公営住宅を今から整備したい。そして、早期の道路の緊急復旧のためには、地震に強い高速道路・高規格道路のネットワーク化・四車線化を加速したい。四国島の津々浦々で災害に強い道路建設工事が活発になれば、地方にお金が回り、人が集まる。そして、たとえXデイに間に合わなくても、人と重機が四国島にあるので、道路等のライフラインの緊急復旧に活用できる。逆に南海トラフ地震のような趙広域巨大災害直後に全国から人と重機を集めるのは不可能である。

この30年間、日本は緊縮財政によって公共投資が著しく抑制され、地方のインフラ整備は滞った。日本の災害対策は事後主義、再度災害防止が基本で、東日本大震災後に三陸自動車道の整備が加速し、大規模な防潮堤が整備された。南海トラフ地震が近い将来に必ず発生するのだから、災害に強いインフラ整備は事前に行いたい。では財源をどうするのか?建設国債による事前対策は、日本を救う未来への投資である。海外でなく国内に投資すれば、国内が豊かになり、四国島に活気が戻るのではないだろうか。

香川大学創造工学部 教授 長谷川 修一

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香川大学創造工学部 教授 長谷川 修一

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