香川大学「高校生のためのジオアートJr.マイスター養成講座」

香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一

column

2023.06.15

人口減少、特に少子化は日本の深刻な課題です。そもそも日本の人口が減り続けているのは、出生率が著しく低い東京圏に若者が吸い寄せられているからです(令和3年度の合計特殊出生率は東京都が1.08)。香川県の地元大学への進学率は、他の3県と比較して著しく低い約17%。従って、香川県の少子化対策は、地元大学への進学者を増やすと共に一度県外に出た若者が郷土の発展に貢献したいという動機の種をまくことだと考えます。

地元に愛着と誇りを持つ若者をどのように増やしたらいいのか?万能な答えはないとは思いますが、先ず大地の成り立ちから地元を深く理解する若者を増やすことが必要だと考えています。これまでの学校教育は普遍的な価値や客観的な指標に重点が置かれてきましたが、それではシビック・プライドは育まれません。

そこで令和4年10月から月に1日の割合で日曜日に「高校生のためのジオアートJr.マイスター養成講座」を開講しました。この講座には香川県内から23人の高校生が参加し、香川大学で地域を研究している教員の講義を受講すると共に、3月には坂出市でサヌカイトに関するフィールドワークを実施しました。ほとんどの生徒は、サヌカイトの名前を聞いたことがありますが、実物は知りません。サヌカイト楽器の演奏、讃岐うどんのお接待、楽器製作者へのインタビューを通じて、サヌカイトの世界的な価値と共にその保全と技術継承の危機的状況についても理解を深めました。最終日に、「地域の宝であるサヌカイトを保護しながら、活用するにはどうしたらいいのか?」をテーマに発表会を行いました。

生徒たち受講した動機は、「大学の先生の講義を受けることができる」「高校での総合学習に役立つ」「香川県についてもっと知りたい、魅力を再発見したい」等。受講後の感想は、「素晴らしい体験ありがとう」「フィールドワークが楽しかった」「香川についていろいろな視点から考えることができた」等。今年度はフィールドワークを強化して、10月から再開する予定です。

香川大学創造工学部 教授 長谷川 修一

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香川大学創造工学部 教授 長谷川 修一

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