新たなビジネスモデルで業界を変えたい

BUDDICA 代表取締役社長 中野優作さん

Interview

2022.03.03

中古車市場でシェアを競う場合、豊富な資金力で多様な車種をそろえる大手チェーン店が数の上では優位に立つ。だが、2017年に中野優作さんが創業した「BUDDICA(バディカ)」は、19年に香川県中古車販売台数1位(注1)になった。

キーワードはライバル会社への「業務販売(業販)」だ。例えば、お客さんが長年付き合いのある店舗「A店」で購入したいがほしい車種がない場合は、BUDDICAからその車種を業務販売して「A店」から購入できるようにする。あるいは、今まで車を販売していなかった整備工場やレンタカー事業者などに自社の在庫を開放し、中古車販売を支援する。「直接販売するより利益率は下がりますが、お客さんはなじみのお店やメンテナンスをしてくれる地域の事業者からも買えるなど、選択肢が広がります」

シェアを争うのではなく、同業や異業種と連携することでユーザーがいつでも、好きなところで車を売買できる、中古車販売店になじみのなかった人にも間口が広がる。「新たなビジネスモデルで、中古車の流通をもっとスムーズにしたい」

業界最高水準のチェック項目を独自に設けて整備をする、的確に相場を読んで仕入れ値を抑えて販売価格に反映する。それらの取り組みを続け、在庫を抱えることが資金負担となる中古車業界の中で、20年には業務販売の商品回転率が日本一(注2)に。創業から4年で県内外に5店舗をもつまでに成長した。
トップセールスマン、起業の経験をセミナー講師として話す

トップセールスマン、起業の経験をセミナー講師として話す

前職は、中古車販売大手で全国ナンバーワンの実績を誇る営業マンだった。会社が成長する過程でM&Aした子会社の社長になり、そこで結果を出せず退職した人の姿を何人も見てきた。「ずっとトップセールスマンでいられるのはほんのわずか。自分の部下がセカンドキャリアを考えた時、サポートできる仕事がしたい」

退職後は、コンサル業を考えたが「起業した経験がない人の言葉は説得力がない」と考え、プレハブの本社と苦労して集めた資金をもとに一から中古車販売事業を始めた。会社が成長した今は「『業販に目を付けたアイデアがよかった』とよく言われますが、私自身はやると決めたことをすべてやったから」だと思っています。どんな小さなこともベストを尽くすようにしています。

そう考えるようになったきっかけがある。進学校に進んだが、家庭の事情で高校を中退。15歳から建設業で働いた。26歳の時、同級生の中には一流企業で課長になった人もいた。「自分で選んだことですが、本当に悔しかった」。これからは、絶対に後悔しない生き方をすると決め、実力さえあれば認められる中古車販売大手に転職した。「後悔することが人生のリスク」という思いは今も変わらない。
会社を立ち上げて10年したら身を引くと決めている。その時のため、優秀な人材を育てるしくみを考えている。やりたい業務、役職があれば自ら手を挙げ、上司や同僚、部下に妥当かどうか選挙で判断してもらう。

いま進めているのは、ガソリンスタンドに展示車を貸出、運営ノウハウも提供する事業。「あとは日本一の規模1000台の展示場をつくりたい」。常に走り続けるのは、自分と関わったことでその人が変わるきっかけになればと思っているから。

「『中野さんのおかげで、いま充実しています』と言ってくれる人がいれば、こんなに嬉しいことはありません」

注1=20年6月、東京商工リサーチ
注2=大手業販サイト「オートサーバー」認定

石川恭子

中野 優作 | なかの ゆうさく

略歴
1982年 さぬき市生まれ
1998年 建設会社 入社
2008年 大手中古車販売会社 入社
2017年 退社
    BUDDICA設立
2018年 BUDDICAを法人化
2021年 SSコンサル事業 カーピックス(株)設立

株式会社 BUDDICA

住所
香川県高松市檀紙町2039-4
代表電話番号
TEL. 087-887-7262
設立
2017年
事業内容
新車販売、中古車販売・買取、SJNK保険代理店、展示車販売コンサルタント、
自社鈑金工場など
古物商許可番号
URL
https://www.buddica.jp/
確認日
2022.03.03

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