MOTTAINAIエンジニアリングで “最善”を目指す

XEN GROUP 社長 高畑 洋輔さん

Interview

2022.02.17

高松市三谷町のXEN GROUP本社

高松市三谷町のXEN GROUP本社

「ご縁に感謝」し 新たなステージへ

「会社が成長できたのは、決して“タカハタ”という人間が素晴らしかったからではない。周りの人とのご縁があり、それを社員が繋いできたからです」

金属加工、産業機械の設計・開発、食品製造などを手掛ける株式会社タカハタは今年1月、社名を「XEN(ゼン)GROUP」に変えた。「XENは『善』。Xの文字には『最善』、GROUPには『社内外の信頼関係やご縁』という意味を込めた」と高畑洋輔社長(42)は説明する。

新たなスタートに伴い立ち上げたのが「XEN BRAND事業」だ。「SDGsや脱炭素が叫ばれる中、モノづくり技術とサービスで最適な解決策を提供する“MOTTAINAI(もったいない)エンジニアリング”で、社会に必要とされるビジネスモデルを切り拓いていきたいと思っています」

フードロス「ゼロ」を目指して

初めて受注してつくり上げた豆腐成型機がお客さんの都合で納品できなくなったことがある。「それならこれで豆腐をつくって売ろう」。2016年に豆腐製造工場を立ち上げ、一日に10万丁の豆腐をつくるまでになった。危機的状況を発想の転換で乗り越えた実行力に皆が驚く。「まず“やってみる”のがモットーです。頭で考えるだけじゃダメ。なんでもやってみないとわかりませんから」

そして豆腐をつくる中で、大量に産出されるおからに悩まされる。水分を多く含むおからは腐敗も速く産業廃棄物として取り扱われていた。「食物繊維が豊富なおからを商品に変えることはできないか」と乾燥機を開発。乾燥品は食用のおからパウダーとして販売している。
高品質な鮮度保持を実現した 「X-Charge Unit」

高品質な鮮度保持を実現した 「X-Charge Unit」

さらに、社会問題にもなっているフードロスについて考えるようになり「フードロスを未然に防ぐことができないか」という思いが膨らんでいった。そんな時、「新たなご縁があり、食品の鮮度を保つ熱交換装置の開発に乗り出すことにしました」

何度も試作を繰り返し、昨年10月に「X-ChargeUnit(クロスチャージユニット)」(XCU)が完成した。「食品に一番多く含まれる成分である“水”が品質に大きな影響を与えています。その水の動きをコントロールすることが一番のカギになります」

食品保存は「冷凍」するのが一般的。だが、凍らせると食品中の水分が「氷結晶」となり、細胞を壊したり、栄養素やうまみを損なったりする原因になる。一般的にはこの氷結晶が成長しながら氷柱をつくり凍結していく。
「X-Charge unit」で処理し冷凍された食品

「X-Charge unit」で処理し冷凍された食品

XCUはその氷結晶を成長させない状態をつくることができる。食品の表面から中心までを、マイナスでありながら凍らない「-0.1℃~-1℃」の狭い温度帯に均一に整えて冷凍することで、長期保存できる高品質な冷凍を可能にした。この精密な温度管理の技術は現在特許出願中で、XCUは間もなく市場にお目見えする。

「大きなエネルギーを必要としないので脱炭素にも貢献でき、働き方や流通をも変えることができる装置だと思う。幅広くみなさんに使って頂きたいですね」

幸せをつくる場所

大学卒業後に帰郷して入社した時は「会社は最悪の状況だった」と振り返る。「当時は劣等感しかなかった。『逃げ出そう』と何度も思いました」

転機になったのは28歳で入った経営者の勉強会「盛和塾」での教えだ。「事業を成長させ、従業員を幸せにすることが経営者の使命」……

高畑さんは腹をくくり、30歳の時、先代の父に直談判した。

「社長を交代してほしい」―

「まだ早い」と拒む父を半年がかりで説得した。「常に明るく前向きに」を自身に課し、「会社を『幸せをつくる場所』にする」という経営理念をつくって三代目として踏み出した。
入社した20年前は15人程だった社員は今では190人に。「仲間が190人できました」とうれしそうに話す。その社員全員と、年2回の個人面談を10年以上続けている。「正直大変ですが、お互いの考え方を共有できる大切な時間です」

4年前、うれしい出来事があった。ある社員の20歳の息子が「入社したい」と訪ねてきた。親の姿を見た子どもが「入りたい」と思ってくれる。「『幸せをつくる場所』に少し近づけたかな」と思えた瞬間だった。「”親の七光り”を使ってもらうのは大歓迎。本人が“八番目の光”をここで放ってほしいですね」

会社は大きく成長したが、満足している暇はないと目を輝かせる。「できていないことや、やりたいことはまだいっぱいある。社員が楽しみながら働けて、『この会社に入って良かった』と本人にも家族にも思ってもらえるようになれば、ようやく私の劣等感もなくなるのかな」と笑う。
思い描く壮大な夢がある。「世の中がどう変わろうとも、人は一人では生きていけませんから」。食品事業や農業にテクノロジーを融合し、「みんなが集まり、年をとっても明るく元気に働ける。そんな“幸せなまち”のような場所をいつかつくりたいですね」

高畑 洋輔 | たかはた ようすけ

1979年 7月 高松市生まれ
1998年 3月 高松南高校 卒業
2002年 3月 愛知学泉大学経営情報学部 卒業
2002年 4月 有限会社高畑電機(現(株)XEN GROUP)入社
     (株)ヤマザキマザック 出向
2007年 2月 専務取締役 就任
2011年 7月 代表取締役 就任

株式会社XEN GROUP(旧社名 株式会社タカハタ)

住所
香川県高松市三谷町3234-10
代表電話番号
087-888-5852
設立
1967年(有限会社高畑電機)
社員数
190人(2021年12月)
各拠点
【本社】香川県高松市三谷町3234-10


【香南工場】香川県高松市香南町由佐560-2


【兵庫工場】兵庫県宍粟市山崎町五十波17-13


【広島工場】広島県三次市南畑敷町300-41


【ミャンマー工場】(MOOZ&COMPANY)

 D3, Thilawa Special Economic Zone (A),, Than Lyin, Yangon , Myanmar
事業内容
・XEN BRAND事業

・MACHINE事業

・FOOD事業

・AGRI事業
資本金
1000万円
地図
URL
https://xen-group.com/
確認日
2022.02.17

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