住まいを通して、街づくりに貢献したい

独立行政法人 住宅金融支援機構 佐藤朝文さん

Interview

2022.02.17

地域の歴史文化に触れるのが好きで、自身の出身地である岩手から、源平合戦の時に源義経に付き従った奥州藤原氏の家臣・佐藤継信の墓が牟礼にあると知り、香川を身近に感じた。状況が許せば寺社を巡り地元のことを知りたい、様々な人と交流を広げ地域の役に立ちたいと考えている。

相手に伝えるのは難しい

若手向けの研修

若手向けの研修

住宅ローンの融資業務などを行う住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)に入庫。貸付業務に長く携わった。貸付業務は、住宅を建築・購入したい人からの申し込みを受け付け、融資可能かどうか審査し、民間の金融機関を通じて融資する。様々な融資メニューがあり、その制度設計や融資審査の基準づくりにも関わった。

「今でも覚えているのは、バブル崩壊後の経済対策時に、融資制度の拡充に携わったことです」。住宅取得の促進は、経済への波及効果が期待されていた。「景気回復にもつなげるため、住宅を必要としている人が安心して取得できる制度とはどういうものか、熱く議論しました」

制度・手続きの内容が決まれば、社内の規定を策定し、商品を扱う金融機関の担当者向けのマニュアル、顧客向けのパンフレットを制作する。「関係者の意見を聞きながら進めますが、様々な制度について相手に正確に理解してもらう文章をつくるのは本当に難しかった」。最新の情報を盛り込むため、印刷所で直前まで文章を修正した。「大変でしたが、苦労をともにした当時の仲間とは今でも交流があります」

この経験を生かし、四国支店では若手向けに「相手にわかりやすく伝えるための文書作成」研修も行う。

現場での声を力に

阪神淡路大震災、東日本大震災の際は応援派遣で、被災者の相談を受けた。家を失い、打ちひしがれている人に寄り添い、自治体の担当者とともに話を聞きながら、融資制度や資金計画について説明する。「話をする中で、『それなら建てられるかもしれない』と表情が変わるのを見ると少しほっとしますし、嬉しいですね」

制度についての改善点を自治体や住宅業界、金融機関などの関係者から意見を聞くことで気づきも多いという。「現場の声を本店に伝え、サービスの向上につなげるのが支店の役割です。部下にもできるだけ社外の人とも関係をつくり、視野を広げてほしいと伝えています」

連携して課題解決を

高校時代はバンド活動も。写真は友人の結婚式で

高校時代はバンド活動も。写真は友人の結婚式で

住まいはそこに住む人のものだが、同時に地域への影響も大きいという。少子高齢化で空き家が増えれば、防犯面への影響がある。古い住宅の耐震化が進まないと、災害被害のリスクが高まる。安心・安全で持続可能なまちをつくるには、2050年のカーボンニュートラルに向けた省エネ住宅とは……。

「様々な課題の解決に向けて、“住宅金融”というツールでどんな支援ができるか、考えて実行するのが私たちの役割です。ただ、私たちだけで進めることは難しい」

自治体や金融機関、業界団体など、多くの人と連携する。「まずは、相手の立場になって様々な人の話を聞きながら、一緒に地域の住まいと街づくりのために貢献したいと思います」

石川恭子

佐藤 朝文 | さとう あさふみ

略歴
1967年 岩手県生まれ
1986年 岩手県立一関第一高校 卒業
1991年 東北大学法学部法学科 卒業
    住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構) 入庫
2007年 四国支店営業推進グループ長
2014年 コンプライアンス・法務部法務グループ長
2016年 審査部審査業務グループ長
2019年 審査部審査センター長
2021年 四国支店長

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