仲間と共に働く時間が人生を豊かに

日本政策投資銀行 四国支店長 柏原 亮さん

Interview

2021.09.02

高松での勤務は22年ぶり。四国支店の入る百十四ビルからの眺めは「当時と変わらずきれいですね。ですが、サンポート高松エリアは大きく変わっていて、早速周辺を散策しました。昔ドライブした高知や徳島も、新型コロナが落ち着いたらまた行ってみたい」

肌で感じたリーマン・ショック

愛媛県松山市出身の柏原さん。大学ではまちづくりを学び、「企業への支援を通じて国や地域の発展に貢献できる」と考え、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)へ。入行2年目の勤務地が高松だった。金融監督庁(現・金融庁)に出向した経験もあり、インターネットバンキングや金融機関における個人情報の扱いなど、政策立案の仕事に従事した。

2006年、ワシントン事務所に転勤となったが、事務所の閉鎖に伴いニューヨーク事務所へ異動。そこでは08年のリーマン・ショックの影響を目の当たりにした。リーマン・ブラザーズが破たんした際、ブロードウェイ側に面した電飾看板は同社のコーポレートカラーの緑一色だったのに、週末には真っ暗になり、週明けには買収した会社のカラーになっていた。「米国経済のダイナミズムを肌で感じた出来事でした」。米国内の様子や日本企業への影響などを日本の本店へ報告した。

東京の本店では、営業担当が業種によって1~6部まで分かれる。運輸・交通の4部では、海運を担当。地元に近い愛媛県今治市や広島県尾道市には巨大な船を数十隻も所有している企業があることを初めて知ったという。出張で現地の船主を訪ねたことも。エネルギー部門の5部では石油やガスを担当し、世間で「CO₂排出量削減、脱炭素」が強く言われるようになり、潮目が変わっていくのを感じた。

2021年6月、四国支店が事務局を務める「四国中央市カーボンニュートラル協議会」が発足した。「紙のまち」である同市には、製紙など関連企業が500社ほどあるという。「今後、四国中央市のように、エリアや業界ごとに特性を生かした動きが起きてくると思います。当行は長期的な目線や中立的な立場で様々な支援ができると思います」

課題解決をサポート

「この時期に、このメンバーで仕事ができるのは奇跡のような確率。共に働く時間が、スタッフの公私にわたる満足感や、人生を豊かにする時間になれば」

四国の課題もしっかりと分析していきたいという。「脱炭素以外にも、全国平均より早いペースで人口が減少する中、物流網をどう維持するか、観光を盛り上げていかに交流人口を増やすかなどを課題だと感じています。地元民の感覚と域外で働いた経験の二つの視点から、四国4県の課題解決を全力でサポートしていきたい」

鎌田 佳子

柏原 亮|かしはら りょう

略歴
1972年 愛媛県松山市生まれ
1996年 東北大学経済学部 卒業
     日本開発銀行 入行
1997年 高松支店
1999年 金融監督庁 派遣
2001年 日本政策投資銀行 信用リスク管理部
2004年 九州支店 調査役
2006年 ワシントン事務所 駐在員
2007年 ニューヨーク事務所 駐在員
2011年 企業金融第4部 調査役
2016年 企業金融第5部 課長
2020年 監査部 企画審議役
2021年 四国支店長

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