経験を積むことで豊かな試合ができる。これからも長く続けたい剣道の楽しさとは。

中央三井信託銀行高松支店 支店長 本村 吉賢さん

Interview

2010.05.07

昨年11月に、中央三井信託銀行高松支店長に着任した本村吉賢さんの剣道歴は長い。小学2年から始め、今年で38年目となる。そのきっかけはテレビドラマだった。「姉が2人いましてね。その影響で当時人気のあった『おれは男だ!』をよく見ていまして、かっこいいなあと思ったんです」。剣道を始めたいという同級生と一緒に、地元鹿児島県警の道場で開いていたクラブに参加、毎週3日通うことになる。「県警の有段者が指導してくれる熱心なクラブでした。小学生の足ではちょっと遠かったんですけどね」

きっかけはテレビドラマ

道着を着けずに竹刀の部位の説明や竹刀の握り方、素振りの仕方などを学ぶことから始まった練習も、防具を着けるようになってからは次第に内容も濃くなってくる。もちろん礼儀作法も。「稽古自体は厳しかったんですが、指導者の方々が練習のほかに様々な行事を考えてくださって、楽しかったですね。我々のあともどんどん入会者が増えました。学年ごとの大会への出場は、1学年3チームくらいの編成で出ていましたね」

とはいっても、いつも楽しいわけではない。行きたくない日もあったという。「1カ月ほどサボったこともありましたが、行かないとだんだんムズムズしてくるんですよ」。道場までの道々では、行きたくないなあ、いやだなあと思っていても、練習を終えてみれば充実感で満たされる。「防具を外したときの爽快感と相まって、気持ちよさや達成感が忘れられなくなるんでしょうね」

やっぱり剣道部、そして、ずっと剣道部

小学時代は道場で剣道を続けた本村さんは、中学での部活動に剣道を選んだ。「野球や歌も好きだったけれど、やはり剣道だった。自分の中では自然な流れだったんですよ」。自主的な練習が多かったという中学時代が終わると、進学した高校では正反対の環境が待っていた。「日体大出のバリバリの顧問でした。練習がとても厳しくて、10数人いた同期はわずか3人になってしまった。試合に出るのがやっとという人数でした」。年齢が上がるにつれて、剣道のレベルも自然と上がっていく。「近くにある強豪校とも合同練習をしました。そこは全国レベルの高校で、毎回やっつけられましたが、それでも練習は楽しかったですね」と本村さんは当時を振り返る。

比較的剣道が盛んな鹿児島で成長した本村さんは、大学進学で東京に出る。入学した慶應義塾大学でも体育会剣道部に入部し4年間在籍した。「大学に入って感じたことは、他大学も含めて剣道自体のレベルが高いということでした。高校の時の厳しい練習のおかげで体力的にはなんとかなりましたが、特に強豪と言われる大学の技術の高さや強さには驚きましたね」。黙々と練習を続けた本村さんは大学3年の時からレギュラーとして大会に出場した。社会人となり銀行に入行してからも、本村さんの剣道は続く。銀行内の剣道部に入り、そして現在に至るのだ。

その段階ごとに違って感じる、剣道の面白さ

本村さんの段位は現在6段。社会人になってからも昇段審査を受け、岡山支店時代に5段を、大阪支店時代には6段を取った。「剣道の段位を取るのには年齢や修業期間などの条件がありますから、結果的にこの年齢になってしまいました」と話すが、そう簡単に取れるものではない。体力と技術はもちろん、強い意志も必要なはず。毎日の練習はどうしているのだろう? 本村さんの転勤には剣道の道具一式がお供する。単身赴任となった高松でも同様で、就寝前の素振りは基本的には毎日、部屋の中でも振ることが可能な竹刀を使って行う。「といっても、テレビを見ながらでもできますし、もちろん飲んで帰った日は休みますよ」。生活の中に剣道がごく自然に、そしてはっきりと存在しているのだ。

長く剣道を続けている本村さんだが、楽しさ、面白さは段階的に違うものだと感じている。「剣道が好きだから今まで続けてきましたが、振り返るとその年齢での楽しさや面白さがあったように思います」。スピードで勝っていた学生時代、理詰めで戦えるようになってきたころのこと。「もちろん試合で勝つことは楽しいですが、今は若い人や年配の人、様々な人と竹刀を交え対戦することが楽しい。竹刀で会話をしているような気がするんです」。そして、剣道談義に花が咲く試合後の反省会も外せない。「箸を竹刀に見立て、あの時の試合はどうだった、こうだったと、みなさん1本1本に思い入れがあるんですね」

学生時代、絶対に負けられなかったという試合・早慶戦。どちらかが勝つまで20人戦で戦う伝統の大会だ。「あの時の緊張感とプレッシャーの大きさは今でも忘れることができません。どの試合でも緊張はありますが、特にあの試合を経験したことは、社会人になってからの自分に精神的にプラスになったと思います」

昨年4月、本村さんはある大会で90歳の剣士の試合を見た。「めーん!と相手の胸に飛び込んで行くんですね。その姿をみていると、その方の年齢くらいまでやりたいなあと思いました。まだまだ剣道を楽しめる時間があるなあと楽しくなりました」。いつかは7段を取りたいと笑顔で語る本村さん、剣道を楽しむ日々はこれからも続きそうだ。

本村 吉賢 | もとむら よしかた

略歴
1964年 6月 鹿児島県鹿児島市生まれ
1987年 3月 慶應義塾大学商学部卒業
1987年 4月 三井信託銀行(上野店)入社
1990年   岡山支店
1994年   シンガポール支店
1995年   バンコック駐在員事務所
1998年   池袋支店
2000年   審査第一部(本店)
2004年   大阪支店 課長
2006年   新宿西口支店 次長
2008年   審査第一部(本店)次長
2009年 11月 高松支店長
写真
本村 吉賢 | もとむら よしかた

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