様々な視点を持ち、丹念に観ること、考えることが面白さに繋がる

日本政策投資銀行 四国支店長 藤田 寛さん

Interview

2009.12.03

木々が落葉する冬は、木立の見通しがよくなり、鳥の姿が見分けやすくなることから、バードウオッチングに適した季節といわれる。日本政策投資銀行四国支店長の藤田寛さんが野鳥の観察に興味をもったのも、大学1年の冬だった。

冬は野鳥が身近に感じられる時期

藤田さんは幼いころから小動物に興味を持ち、特にチョウの観察や採集に熱中してきた。中学、高校では生物部、進学した大学でも生物学研究会というサークルに属した。「中高の生物部では、チョウ、植物や微生物、両生類の観察や研究が主流でしたね。『鳥の観察』はようやくそのころ一般に知られ始めたと記憶しています」

大学に入学してからもチョウの観察は続けていたが、寒い季節になるとチョウはいなくなる。「では、冬は鳥をやろう」と決めた藤田さんは、ある日サークルの先輩と一緒に北海道に旅に出た。目的地は根室市と別海町にまたがる風蓮湖周辺。そこは湖とその周辺にタンチョウや水鳥が数多く訪れ、また周囲の深い森には様々な小鳥が棲息する地として知られていた。「湖の近くには鳥を観るために来た大学生たちが泊まる宿がありましてね。学生がスタッフとして住み込んでいるような宿で、僕の4年先輩にもそんな人がいた。その縁もあってその宿に泊まり、バードウオッチングに熱中するようになったんです」

じっくり観察しだすと鳥は面白い。興味の対象がチョウから鳥へと移るのは早かった。「季節ごとに観られる鳥が違うことも面白いですね。また渡り鳥といっても、日本で夏を過ごす夏鳥、冬を過ごす冬鳥、日本を通過地点としている鳥などと種類はさまざま。時間もあったので、じっくりと観察できましたね。北海道で生息数が少ない『クマゲラ』を観たこともいい経験でした」

鳥を観るために大学時代は毎年夏冬に北海道へ通っていたが、藤田さんが住んでいた関東地域でも様々な鳥を観察できた。「私は鳥を観ること自体が楽しかった。写真を撮って鳥の姿を残しておこうと思う人が多いようですが、私はその美しい姿を目に焼き付けたい、と思っていました」

毎日の暮らしと身近な鳥の動向も興味深いもの

社会人になってからは、バードウオッチングのために山や郊外に出かける機会は減ってしまった。「でも、わざわざ出かけなくても、その気になりさえすれば、鳥を観ることはできますよ。以前、東京の世田谷を電車で移動している時に外を眺めていて、チョウゲンボウ(小型のタカ)を見つけたこともあります」と藤田さん。

街で見かけるハトやカラスなどの鳥でも、その住みかなどは地形や環境にも影響されているという。街の中のどのあたりで、どのような鳥が観られるか。「例えば高松市内なら、中央通りの限られた街路樹にムクドリが大集団となって集まっている。なぜそのエリアなのか、その木なのか。群れることが安全に繋がるのだろうかとか、そこがカラスに攻撃されない安全なエリアなのかなどと推理する。またセキレイやコガラなどの鳥を観るエリアが、以前に比べて中心部の住宅地などに近くなってきている。なぜなのだろう。餌がとりやすいのか、安全だからか、などなどいろいろ考えることができるんですね」

様々な視点を持ち、丹念に観ること。「知っていると面白いことって、ありますよね」。関心のあるものに、様々な角度から見たり考えたりして働きかける、また視点を変えてみることで、より興味は深まるものだ。藤田さんにとって、鳥やチョウ、植物はそんな面白さの対象なのだ。
「転居してきて4カ月半。高松なら栗林公園や屋島などが、中心部近くでありながらバードウオッチングに良さそうなエリアではないかと期待しています。時間を作って、ぜひ出かけてみたいですね」

藤田 寛 | ふじた ひろし

略歴
静岡県浜松市生まれ、埼玉県草加市で育つ。
1983年、日本開発銀行(現(株)日本政策投資銀行)入行。広島支店、建設省(当時)出向、都市開発部、大阪支店、政策企画部、地域企画部、富山事務所などを経て2009年6月、本店地域企画部公共RMグループより、四国支店へ

※大阪支店勤務時に阪神・淡路大震災で被災、被災地の復旧・復興に携わる。NPO、コミュニティ・ビジネスなどについての勉強を続けている。
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藤田 寛 | ふじた ひろし

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