地域の声を聞いて、届ける

日本銀行 高松支店長 高田英樹さん

Interview

2021.07.01

5月24日、高松に赴任。香川は、10年前に家族旅行で訪れたことがあった。趣味はお城巡り。江戸時代以前に建てられた「現存天守」を持つのは、日本全国で12城だけ。そのうち、四国には丸亀・松山・宇和島・高知の4城がある。4城を回るために四国を訪れ、香川ではこんぴらまいりなども楽しんだ。

「歴代の高松支店長から『香川は仕事をするにも暮らすにも、とてもいいところ』と聞いてやって来ました。本当にそうだなと感じています」

いろんな業種と仕事ができる

愛知県出身で、父は地元の信用金庫に勤めていた。子どものころから金融の仕事を身近に感じ、興味があったという。大学では経済学部でマクロ経済を学び、就職も金融機関を考えていた。

「製造業、小売業、サービス業・・・金融機関ではいろいろな業種の人と仕事をすることができます。日本銀行は、国内はもちろん世界の経済とも関わり、世の中のために働くことができると思いました」

1995年に入行。2年弱、山梨県の甲府支店で働いた後は、東京本店での仕事が長い。入行から26年の間に2度経験した金融危機が、心に刻まれている出来事だ。一つは、1997~98年にかけての大手銀行の破たんに端を発するもの。高田さんは当時の考査局という部署で、金融機関の経営状況のモニタリングを担当。銀行を訪ねてヒアリングをしたり、経営に関する議論をしたりしていた。

もう一つは、2008年のリーマン・ショックだ。その時は金融市場局で調査・分析に携わっていた。銀行や投資家から話を聞き、マーケットの実態把握に努めた。「どちらの時も、金融機関から個人・企業への貸出が急速に縮小。経済への大きなマイナス影響を目の当たりにしました。健全な金融システムを維持することの重要さを、痛感しましたね」

その後、総務人事も担当。「金融や経済とは直接関係ないですが、総務の仕事は日本銀行が組織として機能するために必要なもの。それによって、世の中の役に立てる仕事だと思います」

3つの取り組みを誠実に

金融機関にとって信用と信頼が一番だと考え、誠実でいることを心掛けている。「あとは、分かりやすく簡潔に説明すること。どうしても話が長くなってしまうのですが・・・気を付けています」

高松支店長として、3つのことに取り組んでいく。「まずは経営者の方をはじめ、地域の皆さんの声をしっかりと聞いて、本店に届ける。その次に、日銀の政策について知っていただき、ご意見をもらう。そして、地域で現金の流通が滞らないように営業を続ける。阪神淡路大震災の時も東日本大震災の時も、日銀は休まず営業しました。地域経済のために必要なことだと思います」

鎌田 佳子

高田 英樹|たかだ ひでき

略歴
1972年 愛知県生まれ
1995年 東京大学経済学部 卒業
     日本銀行 入行
2007年 金融市場局企画役
2009年 金融庁へ出向
2011年 政策委員会室企画役
2013年 金融市場局企画役
2016年 政策委員会室経理課長
2018年 金融市場局総務課長
2019年 総務人事局人事課長
2020年 総務人事局総務課長
2021年 高松支店長
写真
高田 英樹|たかだ ひでき

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