伝統の体験の楽しさ

日本銀行 高松支店長 高田 英樹

column

2021.10.21

「うちわの港ミュージアム」提供:(公社)香川県観光協会

「うちわの港ミュージアム」提供:(公社)香川県観光協会

今年の夏、うちわを二つと半分手に入れました。これまで我が家のうちわはプラスチック製ばかりでしたが、今夏に手に入れたうちわは伝統的な竹のうちわです。

一つ目は、丸亀城で買った、お城が切り絵で描かれたうちわです。竹のうちわは久しぶりでしたが、手触りが良く、柄もしっかりしていて、雰囲気もあり、使い心地の良さを実感しました。今夏は前半に暑い日が続きましたが、外出から職場に戻った際に重宝していました。

二つ目は、うちわ作り体験で作った自作のうちわです。竹製の骨に、好きなデザインの紙を選んで貼り、うちわの形にカットし、周囲に紙を貼って完成。親切に教えて頂いて楽しく作ることが出来ました。職人さんの作とは出来栄えは比べ物になりませんが、自作の品には愛着が生まれるもので、自宅で夏の蒸し暑さを凌ぐ助けになりました。体験をしたことで、うちわを見る際に、従来漫然と見過ごしていた形や細部の作りを見るようになりました。実際、体験後にうちわの港ミュージアムを見学した際には、製造工程の展示について、作業を思い浮かべながら興味津々で見ることが出来ました。

似たような経験が最近もう一つありました。徳島県で伝統産業の藍染の体験をしましたが、後日行った高松市美術館の藍染の展示も、染め方の技法を想像しながら見ると楽しく、これまでとは全く違う見方で藍染製品を見ている自分に気付かされました。

私は三十代の頃までは、体験物は敬遠してきました。体験物は時間がそれなりにかかるため、特に旅先では、一カ所に時間をとられるよりも、多くの場所を巡りたいと思っていたからです。ただ、最近は年齢を重ねたせいか嗜好が変わってきて、時間をかけてその土地の伝統をより理解することを楽しみたいと思うようになってきました。香川県には、色々な伝統の良さがあります。これからも時間をかけて香川県の良さを体感していきたいと思います。

最後に、この夏に手に入れた「半分のうちわ」というのは、うちわ作り体験のお土産で頂いた骨の部分のみのうちわです。四国には伝統の和紙があります。コロナが収まったら、四国の伝統を組み合わせたうちわを完成させようと思います。

高田 英樹|たかだ ひでき

略歴
1972年 愛知県生まれ
1995年 東京大学経済学部 卒業
     日本銀行 入行
2007年 金融市場局企画役
2009年 金融庁へ出向
2011年 政策委員会室企画役
2013年 金融市場局企画役
2016年 政策委員会室経理課長
2018年 金融市場局総務課長
2019年 総務人事局人事課長
2020年 総務人事局総務課長
2021年 高松支店長
写真
高田 英樹|たかだ ひでき

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