自転車お遍路

元・四国地方整備局長 石橋 良啓

column

2015.11.19

「四国」と聞いて思い浮かべる最も代表的なものとして、「お遍路」があります。

古くは、都から遠く離れた四国は辺地(へじ)と呼ばれ、平安時代のお遍路は修験者の修行の場であり、若かりし弘法大師すなわち空海もその一人であったといわれています。「四国遍路」という言葉と概念が成立したのは江戸時代初期とされており、民衆の間にも巡礼が広まっていくことになりました。

さて、地元の方は、四国88箇所霊場の巡礼者をお遍路さんと呼び、他地域から来た方に対してもおもてなしの心で接してくださり、お遍路はそのようなお接待の文化に触れられる旅でもあります。

私の周りにいる四国出身の方に聞くと、いつでも行けるという思いがあるのか、積極的にお遍路をされている方は少ないようですが、転勤で四国に来た人は最も四国らしい文化に触れたいとの思いから、お遍路を始める方が多いようです。

ご多分にもれず、私も前回の四国勤務の時にお遍路を始めました。比較的短い距離で多く回ることが出来る所を中心に66箇所は徒歩で、徳島南部から室戸方面や高知西部から南予方面にある17箇所はマウンテンバイクで回りました。自らの足の力で回るというのを目標にしていましたが、計83箇所まで進んで来たその時に転勤の内示があり、2週間後には四国を離れることとなってしまいました。自らの足で回り終えた時はさぞかし達成感があるだろうと思っていたのですが、88箇所完結することを優先し残りの5箇所をレンタカーで回った結果、大きな達成感を味わえなかったのが残念でした。

そこで、再び四国勤務となった今回、改めて全行程自転車によるお遍路に挑戦することにしました。私の職場には、「8の字隊」という自転車好きの仲間が集まる会があり、その中から何人かが付き合ってくれて、今年の7月20日に第1番霊山寺をスタートし、10月末現在、第36番札所青龍寺まで進んだところです。

自転車によるお遍路では、風を切って走る爽快感を味わうことが出来る一方、12番焼山寺のように札所が山の上にある場合も多く、かなり厳しい行程になることもあります。けれど、前回から持ち越した目標達成のため、ひたすらペダルを漕いでいます。

元・四国地方整備局長 石橋 良啓

略歴
1958年9月 奈良県桜井市生まれ
1983年3月 京都大学大学院工学研究科 修了
1983年4月 建設省 入省
2006年7月 国土交通省北海道開発局 事業振興部技術管理課長
2008年4月 政策統括官付参事官付政策企画官
2009年7月 中部地方整備局 木曽川上流河川事務所長
2011年1月 四国地方整備局企画部長
2012年9月 関東地方整備局企画部長
2014年7月 水管理・国土保全局防災課長
2015年5月 四国地方整備局長
写真
元・四国地方整備局長 石橋 良啓

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ