さて皆さんご存じだろうか、四国に高速道路が開通して今年でちょうど30年になることを。30年前の1985年3月に、松山道三島川之江IC~土居IC間約11キロが開通したのが四国の高速道路の始まりだ。その後、香川県に関係するところでは、1987年12月に善通寺IC~三島川之江IC間が開通、1992年1月に川之江JCTの供用開始により高知道と接続、同年4月に善通寺IC~高松西ICが開通した。また、1998年3月には、津田東IC~さぬき三木IC間が開通。この間その他3県の区間でも開通が相次ぎ、最初の開通から15年経った2000年には四国4県の県庁所在都市が高速道路で繋がり、その形から「エックスハイウェイ」と呼ばれた。その後、2001年3月に板野IC~津田東IC間とさぬき三木~高松中央IC間が開通し、2003年3月に高松中央IC~高松西IC間の開通により、香川県内の高速道路が全線開通した。
現在、四国の高速道路は、「四国8の字ネットワーク」の完成を目指して整備を進めている。完成形約810キロに対し、2015年3月現在で約573キロ(71%)が完成している。その結果、30年前と比べて四国内での自動車による移動時間は、例えば、高松市~松山市は約4時間10分が2時間20分に、高松市~宇和島市は約6時間が3時間10分に、高松市~四万十市は約5時間50分が3時間30分に短縮された。このように高速道路の整備により時間距離が短縮され、地域の皆さんの暮らしや経済などに大きな効果をもたらしている。その例として、四国南西地域の名物である養殖マダイは、高速道路の整備が進むにつれて東京や大阪などの大消費地により早くより多く運べるようになり、全国約6割のシェアを占めるようになっている。また、神戸淡路鳴門自動車道の開通により、濃霧などの気象条件の影響を受けず計画的な出荷が可能となったことから、全国市場の端境期を狙った4月期のニンジンの徳島県の出荷量は、東京都卸売市場年報によると約8割に達している。
皆さんも普段の生活や仕事の中で、高速道路の整備が進んだことによる効果を実感いただいているのではないだろうか。
元・四国地方整備局長 石橋 良啓
- 略歴
- 1958年9月 奈良県桜井市生まれ
1983年3月 京都大学大学院工学研究科 修了
1983年4月 建設省 入省
2006年7月 国土交通省北海道開発局 事業振興部技術管理課長
2008年4月 政策統括官付参事官付政策企画官
2009年7月 中部地方整備局 木曽川上流河川事務所長
2011年1月 四国地方整備局企画部長
2012年9月 関東地方整備局企画部長
2014年7月 水管理・国土保全局防災課長
2015年5月 四国地方整備局長 - 写真
おすすめ記事
-
2015.08.06
2度目の四国 地域の魅力を引き出すお手伝い!
四国地方整備局長 石橋 良啓さん
-
2016.05.19
面積は小さくとも・・・
元・四国地方整備局長 石橋 良啓
-
2016.02.18
マラソンの楽しみ
元・四国地方整備局長 石橋 良啓
-
2015.11.19
自転車お遍路
元・四国地方整備局長 石橋 良啓
-
2025.04.03
香川の未来に思いを馳せる
日本銀行 高松支店 支店長 大塚 竜
-
2024.09.05
成り立ちを知ることで、ありがたみがわかる
香川県信用保証協会 会長 西原 義一
-
2024.08.15
新しい日本銀行券にまつわる話
日本銀行高松支店 支店長 大塚 竜
-
2024.04.18
「星を継ぐもの」
四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也
-
2019.02.07
夢を語ることから始めたい
四国地方整備局長 平井 秀輝
-
2016.11.17
流域外分水
前・四国地方整備局長 名波 義昭
-
2025.08.21
空港のもう一つの出発口
物流を支える貨物カウンター四国航空サービス事業部 貨物グループ 瀧本良美さん/梶谷幸子さん
関連タグ
最新紙面情報
Vol.412 2025年08月21日号
「ここに来て良かった」 生徒一人一人に寄り添って
学校法人村上学園 理事長 村上学園高等学校 校長 村上 太さん
モニタリングの知見を生かし 地域と「顔の見える対話」を
日本銀行 高松支店長 稲村 保成さん
諸機関と柔軟に連携し 四国の中小企業に寄り添う
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 四国本部長 田中 学さん
まち全体を一つの「宿」に見立て 古民家を核に日常風景の魅力を発信
NIO YOSUGA 代表取締役 竹内 哲也さん/菅組 社長 菅 徹夫さん
生徒の「やってみたい」が地域とつながる 進化するボランティア団体「TSUNAGU」
大手前丸亀中学・高等学校