「過去に経験のない厳しい状況です」
香川県内に7店舗を展開する地元スーパーマーケット、株式会社ムーミーの代表取締役社長村上勝さんは話す。しかし、「全国規模の店であっても、その地域では、店対店、一対一です。競争は価格ではない。スーパーとして、いかに地域と密接であるか、そしてお客様に食の楽しみを伝えられるかです」と村上さんは語った。
「商売人」としての原点
根っからの「商売人」。そんな印象を受ける。村上さんの出発点は大阪での修行。元々商売をしていた親の勧めで高校卒業後、大阪の豊南市場で乾物店をしていた親戚の店で働いた。
そこで教えられたこと。「お客を一目見て、どんな商品をどれくらい欲しいか、財布の中身まで分からなければ商売人とは言えない」だった。多くの店が凌ぎ合う市場で5年間、接客、商売の基本を叩きこまれた。
「激しい競争が当たり前の場所でしたから、競争があって当たり前、その中でどうお客様に接し商売していくかを学びました」。
こうして香川県に戻った村上さんが始めたのが食品を扱うスーパーマーケットだ。
「三者共益の論理」
「お客様だけではない、社員さんだって、問屋・納入業者さんだって神様なんですよ」。この三者のいずれかが不幸になるようでは商売は成り立たないと村上さんは話す。その根本にあるのは、人と人との繋がりをいかに大切にするかという考え方なのだ。そして、その繋がりは自分で作るもの。だから、村上さんはまず自分から声をかけていく。
食の楽しみとは?
まず一つが「店の鮮度」。顧客のニーズに合った、時代に合った店作りである。お客様が来て楽しめる雰囲気の店でなければならないというのが基本だ。その一つとしてムーミーの店の中には、模型の汽車が走っていたり、子どもが乗ることのできる汽車があったりする。
次は、「人の鮮度」。即ち「接客」。単なるお客様と商品の販売の仕方だけではない。どんなに綺麗でおしゃれな店舗であっても、店の中が静まりかえっていては楽しくない。店員の元気なあいさつやお客様との会話があってこそ、店が生きる。
そしてもう一つが「食品の鮮度」。食品に対する安心安全性は最も重要なこと。ただ、今は値段の安さばかりが強調されすぎている。こうした時代だからこそ、値段だけでなく高い品質のものを提供しなければいけないという考え方だ。
「だからこそ、食べ物商売ほどプロフェッショナルが必要な業界です」と村上さんは言う。店舗が増え会社が大きくなればなるほど、仕入れや販売など担当者が全ての事を知っているプロでなくてはいけない。決して人任せにしてはいけない。知らない事はできない。そうでなければ「食の楽しみ」、つまり「お客様の五感」を満足させ、競争に勝つことはできないのだ。村上さん自身、「仕入れについては誰にも負けませんよ」と胸を張った。
トップがコンサルタントである事
ところで、こうした話の中で村上さんは「商売」という言葉をよく使う。そして「商売」の話をしている時は、とても楽しそうだ。「商売」とは何か?を聞いてみた。
「商売とは喜びそのものですね。体に染みついているんです。『商売人』とは、お客様に目が向いていて、どうすれば喜んでもらえるか、お客様の心を知っている人。『経営者』とは会社経営を守る人の事ではないですかね」と話した。事実、あるお客様から「地元のスーパーマーケットとして頑張ってくださいね」と声をかけられた事もあるそうだ。
ただ、依然スーパーマーケットは厳しい競争が続いている。こうした中で地元のスーパーマーケット「ムーミー」として将来の「商売」について村上さんは「右足でこれまでの事をしっかりとしながら、左足で新しい事に踏み出していきたいですね」と話した。
村上 勝
株式会社ムーミー
- 住所
- 香川県高松市川島東町520
- 代表電話番号
- 087-848-1258
- 設立
- 1989年
- 社員数
- 250人
- 事業内容
- スーパーマーケット「四季食彩館ムーミー」の経営
- 沿革
- 1953年 創業
1989年 株式会社ムーミー設立 - 資本金
- 3000万円
- 地図
- URL
- http://www.mumie.co.jp/
- 確認日
- 2010.05.07
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