物語を紡ぎ続ける　NEWレオマワールド

「こんなに多くの方に来ていただけるとは･･･。思ってもみないことでした」と話す藤岡さん。2011年のテーマパークの来園者は42万人、ホテルの宿泊客は18万人。就任当初の予想を上回る数だった。約半数が四国から、あとは近県の岡山、広島と関西圏から訪れる人が多い。

「ホームページやブログなどによる『口コミ』の影響が大きいようです。人は飽きる生き物。飽きさせない努力を継続することが一番難しいと思います。地元のリピート率を上げることが課題ですね」。生まれ変わったレオマワールドに興味を持ち続けてもらう。継続が力になる。

経営者の交代で、10年ほど姿を消していたキャラクターたち。それに伴い、パレードも休止となっていた。「パレードは、子どもからお年寄りまでどの世代の人も楽しめる、唯一のアトラクション。同じ空間で同じ体験ができます」と藤岡さん。2010年、キャラクターとパレードの復活を決めた。

キャラクターの中心となるペディーとポーリーは、よく見ると以前とは少し違っている。目の大きさやスカートの丈、細部にまでこだわった。「キャラクターはテーマパークのシンボルですからね。パレードでは、お客様とパフォーマーがハイタッチなどで触れ合えます。毎日修正し、試行錯誤しながらつくっていますよ」。アンケートでは、来園目的の1位が乗り物、2位がパレードと高い人気を誇る。今後、文房具やぬいぐるみといったキャラクターグッズも充実させたいと考えている。

「遊園地とテーマパークは違う」。藤岡さんが就任後、社員から言われ、考え続けてきた言葉だ。「遊園地は乗り物に乗る場所。テーマパークは物語を提供して、非日常を楽しんでもらうところなんですね。私たちの仕事は、それをお手伝いすること。開園前の毎日の清掃は、入り口につながる公道からしています。物語は、園に入る前から始まっているんです」

家を出てから帰るまでが一つのストーリーだ。「楽しかったね」と言いながら帰っていく家族の後ろ姿を見届けるため、テーマパークとしてのこだわりを一つ一つ積み重ねる。「まだまだ作っている途中で、終わりはありません」

物語を作り出すのは、キャラクターばかりではない。「HIROZ（ヒローズ）」や「劇女（げきじょ）」といった、専属劇団員たちも園内を盛り上げる。来園客の中には、劇団員のファンも少なくない。夜はホテルでショーを開催し、宿泊客から好評を得ている。キャラクター、HIROZ、劇女の3つが融合し、リピーター獲得につながる。

園内のレッスン場では、子どもから一般までを対象に「レオマダンススクール」を開講。上達に応じて、園内のイベントやパレードへの出演も。地元で活躍できるダンサーの養成も、狙いの一つだ。

ライバルは、レジャー化している大型ショッピングセンターや、家の中で楽しめるゲームだという。「消費者の嗜好が、手軽に楽しめるものにシフトしてきているように感じます」。テーマパークは、足を運んでもらわなければならないため、ハードルが高い。

「立地条件は最高でしょう。香川県の丸亀市だからいい」。丸亀城や琴平に近いため、園内のホテルに宿泊すればレオマワールドを中心に動ける。「ホテル レオマの森」は、年間を通して宿泊料が変わらない。高品質・低価格でサービスを提供している。地元との連携も欠かせない。周辺観光地のホテルは、入場チケットの販売に協力的だ。

「今のレオマワールドを例えて言うなら『壊れた土鍋で作る寄せ鍋』。旧経営陣、引き継いだ私たち、様々な考え方が混ざっています。使えば鍋が壊れていくのは仕方ありませんが、修繕しながら『レオマ』という料理をきちんと仕上げなければ。21年前に達成した年間来園者数200万人を突破することが目標」。新しいアトラクションは、今年の春、夏と来年にもオープンする予定。NEWレオマワールドの物語は、まだまだ続く。