さぬき麺機本社の第一麺研究開発室・調理室=三豊市高瀬町
讃岐うどん支える製麺機
うどんを手打ちでつくるには大変な労力がかかる。個人店舗の場合、一日に100食ほどしかつくれないそうだ。だが、製麺機を使うと、その数は跳ね上がる。大量生産する工場向けの大型機だと1時間に1万食、店舗向けの小型機だと1時間に200~300食をつくることができる。
そして、製麺機がもたらすのは量だけではない。「麺づくりには正解がないので、とても難しくて奥が深い。でも、私たちがつくる麺は、手打ち職人がつくる麺と遜色ないレベルまで到達できていると思います」。三豊市の製麺機メーカー、さぬき麺機の中野郁社長(53)は力強く話す。
最新の手打式製麺機「さぬき一番 AP」
生地にストレスがかからないよう、小麦粉や塩を超低速で練り込むことで、小麦に含まれるタンパク質の一種、グルテンをしっかりと引き出す「ミキシング」技術、かみ合わせ部分を工夫した凸凹のロールで回転させながら加圧する「プレス」技術など、さぬき麺機ではこれまでに40以上の特許を取得。プロの手打ちの再現を目指し、讃岐うどんならではのコシと食感を提供し続けている。
「人手不足に悩んでいるうどん店も多いのが実情です。“手打ち”を追求し、香川が誇る讃岐うどんに貢献できればと思っています」
ラーメン食べ歩き、麺を研究
60年代、「足踏み」でうどん生地を練っていた製麺所などに「足踏みは不衛生だ」という苦情が相次いだことで、県の保健所から“足踏みの機械化”を要請されたのが「さぬき麺機」の始まりだ。
農機具メーカーのノウハウを生かし、「足踏み代用機」を開発、製麺機メーカーへと転身した。それから60余年、いまや全国に23カ所、世界各地に15カ所の販売サービス網を持つ、製麺機業界トップクラスの企業へと成長した。
中野さんもまた“転身”組だ。生まれは善通寺市だが、幼い頃に香川を離れ東京で育った。そのまま東京で建築関係の仕事に就き、マンション開発や住宅のリフォームなどを手掛けていた。さぬき麺機の創業家ではないが、「母親が先代社長の姉だった」ことで“転身”することになった。
2010年、さぬき麺機が東京営業所を設立するタイミングで「営業所を引っ張っていってほしい」と請われ、37歳で入社した。「建築と製麺機づくり……まったく違う領域なので、かなり戸惑いはありましたね」
東京営業所長を任されたが、「当時の東京には、うどん専門店がほとんどなかったので、“ラーメン店”を攻める戦略を立てました。うどんもラーメンも麺づくりの工程はそれほど変わらないんです」。1年365日のうち、「360日はラーメンを食べ歩いていました」。麺の特徴などを徹底的に研究。製麺機の改良や販売につなげていった。
そして2019年、先代から「会社を継いでほしい」。中野さんは覚悟を決め、生まれ故郷の香川に帰ってきた。
「かがわマラソン」でうどんを提供
「麺の学校」の様子
以前は、うどん店やラーメン店の開業を目指す生徒がほとんどで、「卒業後に製麺機の導入をアドバイスするという流れがありました」。だが現在は、うどんチェーン店の店長研修や小麦粉メーカーの新入社員研修などで学校を活用するケースも増えているという。「うどんとは何か、ラーメンとは何か……。開業する、しないに関わらず、いろいろな人に麺の文化や歴史を学んでもらいたい。それが後世へ伝わり、麺の未来へつながっていけばうれしいですね」
どこへ行っても美味しい麺が食べられる。そんな麺文化を世界へ
“麺で世界をまんぷくに”。さぬき麺機が掲げるテーマだ。
「どこへ行っても美味しい麺が食べられる。そんな麺文化を世界中に広げていきたい。そして、社員たちと一緒にもっともっと麺の進化を追い求めていきたい。やれることはまだまだあると思っています」
篠原 正樹
中野 郁 | なかの かおる
- 略歴
- 1973年 善通寺市出身
東京都立高校卒業後、建築関連会社勤務を経て
2010年 さぬき麺機株式会社 入社
東京営業所長
2019年 代表取締役社長 就任
さぬき麺機株式会社
- 住所
- 香川県三豊市高瀬町下勝間148-3
- 代表電話番号
- 0875-72-3145
- 設立
- 1971年5月12日(創業1910年5月1日)
- 社員数
- 33人
- 事業内容
- 製麺機の製造・販売
(店舗用小型機・工場用量産設備の設計と製造、製麺機の導入サポート)
麺学校運営
(麺学校(讃岐うどん・ラーメン・そば)製麺製法指導、麺の商品開発サポート) - 資本金
- 1000万円
- 営業所
- 東京、大阪、福岡
- 地図
- URL
- https://www.menki.co.jp/
- 確認日
- 2026.04.02
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