公園北西、楠の森に佇む「自由の碑」(高松市提供)
【中河与一:1897(明治30)年 現坂出市生まれ】
讃美の海
文学碑には自筆の文字で「自由なる人永遠に 海を愛さむ」と刻まれている。中河が愛したシャルル・ボードレールの詩「人と海」の一節である。
中河はこの言葉に、瀬戸内に生き、瀬戸内海に親しんで育った自らの想いを重ねた。少年時代、海で泳ぎ、舟を漕ぎ、帆を走らせ、その恵みの中で育った日々。そこには、ボードレールが詠ったように、すべてが解き放たれる自由があった。海を見るたびにこの詩を思い出し、瀬戸内の美と意味を問い続けていた。
彼にとって瀬戸内海は讃美すべき海であった。穏やかで美しく、人の精神を育む海として。
激変の七十年
私が生まれた1950年代半ば、日本は高度成長期に入った。物心がついたころは、まだのどかな海が残っていた。しかし小学校の頃には、香川県にも工業化と開発の波が押し寄せた。
埋立てや水質の悪化、海砂採取などにより、海の環境は急激に変わっていった。同時に島からは都市部へ人口が流出し、漁業など産業も衰退していった。豊島の産業廃棄物投棄問題など離島性を背景とした不幸な事案も発生した。
瀬戸の縁側から
瀬戸の縁側に座り、海を眺めるように、少し距離を置きつつ、この海の歩みを見つめ直したい。瀬戸内海の七十年を、①開発の海、②葛藤の海、③再生の海という三つの時代として、これまでの体験と行政経験をもとに考えていきたい。まずは、大きく揺らいだ時代、「開発の海」からたどる。
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