統計をみると、現在、存命中の世界の長寿者10人のうち半分が日本人です。老いという問題が、日本人あるいは人類にとって避けては通れない大きな問題であることは間違いありません。
この本は「人にだけ長い老後が用意されているのはなぜか。老化の積極的な意味を明らかにする」と表紙にあります。本書の軸になる疑問は「人間を脆弱にし生殖能力を失わせ、死に至らしめる遺伝子が老化を支配しているのだとしたら、そうした遺伝子は進化の競争をいかに勝ち抜いてきたのか?老化はどうやって進化したのか?」というもので、その答えは簡単に言えば老化は進化によって遺伝子にプログラムされていて、次の世代が成長するための自然選択による適応でありコミュニティは民主化し、多様性と回復力を維持するというものです。
それは現在の生物進化理論の主流である個体選択という考え方に異を唱え、これまでありえないと却下されてきた集団選択の理論を導入したものです。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、「ダーウィンの進化論」や「利己的遺伝子」等の理論に疑問を呈しながら老化の謎に新たな光を当てていきます。
どういうアンチエイジング法が長寿と健康に有効なのかという点に興味のある方は9章を読んでみてください。そして本書を手掛かりに老化の真実をつかんでいただければと思います。ちなみに著者の一人ドリオン・セーガンはあの「コスモス」で有名なカール・セーガンの息子さんです。
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
- 坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。 - 写真
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
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