
この本は、新聞を読んだことがないという若者ふたりに「30日間、新聞を読んでみよう」というプロジェクトに参加してもらい、試しにひと月新聞を読んだ結果がどうなるかという、ヨイショなし、忖度なしのレポートです。とはいえこの若者ふたりは、片方は自身で書いた著書もある現役東大生、もう片方は麻雀のプロですが東大法学部卒といった人たちです。この人たちもニュースは、世間の大多数の人と同じようにほぼSNSでみるということです。
著者がいう新聞を読まない人が、新聞をらくらく毎日読むためのヒントとは、まず新聞の最大のメリットは読まなくてもかまわないところで、読まずに見出しを眺めるだけでいい、もちろん全部読まなくてもいい。そしてなんとなくわかるという感じを広げていき、読めるようになったら気になる記事はどんどん破っておき、暇なときに読むというものです。個人的には、これだけで読まない人が新聞を読むようになるのかどうかは分かりませんが、まず身近に新聞があるということが大切だと思います。スマホで慌ただしくニュースを追いかけるより、コーヒーでも飲みながらゆったりと新聞を読む生活を選びたいと思います。タイパもコスパもSNSに絶対負けていないはずです。何より新聞は共通の教養の土台です。
子供のころ新聞を踏んで歩いたりしようものなら、こっぴどく叱られた世代としてはひとこと言わずにいられない世の中になってしまいました。もちろん最近の新聞は熱量が足りない気はしますし、いろいろと注文はありますが、このコーナーに書かせてもらっていますので、その意味でもここで新聞にエールを送ります。
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
- 坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。 - 写真
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
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