森と泉にかこまれて

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2018.12.06

高知県仁淀川町の支流のそのまた支流、県道が林道になりやがては獣道となって消え行く地点に「椿山(つばやま)」という独立集落があります。「限界集落」という言葉を生みだすきっかけとなった隣の岩柄集落よりなお山間部に分け入った、国内で最後まで焼畑農業を行っていた地です。ほんの少し前まで200人が生活していたそうですが、あっという間に人は減り、今ではご老人がただ一人。私もこの6年間、毎年訪れて、お住まいの方の気配を実際に感じたのは一度だけです。子は巣から羽ばたくことを望み、一人が出ると皆も続き、一旦便利さを知るとなかなか戻れません。たとえ県都と言えど、100年後もあるのでしょうか?

一方、限界集落を求めて移住する人たちもいます。都会の雑踏を離れて自然の中で暮らしたいと伺います。しかし「せっかく」消滅しかけている集落が、その人たちのためだけに存続するとなると、決して少なくない行政コストがかかります。また、その人たちの子どもさんにもそれぞれの考え方があり、はたして孫子の代まで定住してくれるのでしょうか?

尊いチャレンジに水をさすつもりではありません。しかし、水が高い所から低い所に流れるのは真理です。下流から上流の池へ手桶で水を運ぶよりも、ダムのように根本的な地形を変えないと人口移動は止められません。他国の人たちも受け入れることになるこれからの日本、他に先駆けて過疎化になった四国が、他に先駆けて多民族化していくくらいの思い切った覚悟が必要だと思います。

思えば太古の昔、ナウマン象とともに本州や九州から渡ってきた人類が住み着いたのが四国です。何代も我が物顔で暮らしてきた我々おじさんおばさんも、何百年か元をたどれば、大名の転封についてきたよその者かも分かりません。つい最近もどこぞから脱走してきた無宿人にまで、お遍路さんと名乗っただけで手厚いご接待ができた性善説の我々です(笑)。他の民族ともなれば、最初はおっかなびっくり隠れて見守るでしょうが、3代くらいでなんとかなるような気もします。紀元前よりストレンジャーを受け入れてきた四国のDNAならおそらく可能です。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

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