
私は、小学生だった昭和40~50年代を、栗林町から花の宮町の商店街で育ちましたが、今思えば(当時は)あんなにぎやかな町でも、数百㍍歩いただけで近所の商店のよお顔を見るおっちゃんやおばさんやから、「てっちゃん、どこいっきょんな?」とか「なんがでっきょんな?」とか「なんしょ~ん?」とか「やっとんな?(何を?)」とか、いちいち返事返すんがうっとぉしいほど声をかけられていました。小学生ながら「ちょっと歩いとるだけやけん ほっといていた」と思っておりましたが、おかげさまで悪いことをする隙も暇もできんかったです(笑)。今の高松市の繁華街ではもうなくなった風景です。ましてや東京の丸の内なんかでは、不審者として巡査に通報されて職務質問されるでしょう。
でも、こんな懐かしくも暖かい雰囲気の町並みは、歳をとっても鮮明なままずっと記憶から離れません。新しい建物や道がどんどんできて、町は見違えるように変わってきましたが、故郷から出た人たちが「ふるさと」を懐かしむように、この地で生まれ育って今に至る私たちにとっての「ふるさと」はこういった子どものころの記憶の中にあるような気がします。
地方では都会への人口流出が問題視されています。都会と同じようなものを造ることも大事でしょうが、もっと他に大切なものを普通に残していく努力も必要な気がします。我々世代の子どものころの名残りはほとんどなくなってしまいましたが、今、ここで育っている子どもたちの「想い出」を、大切に残してあげられるような町になって欲しいと願っております。
四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也
- 略歴
- 1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任 - 写真
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