起業に関心を持ってみよう

香川県信用保証協会 会長 西原 義一

column

2025.05.01

若くに脱サラし、うどん屋を営む同級生がいる。故安倍元総理も食した店になったが、健康を損ねれば、働けず収入が減るし、不安はいつもあるよ、と聞いたことがある。確かにコロナ禍のような災いがいつ起こるとも限らない。

起業・創業には不確実性がつきまとうものだが、やりたい仕事に携われることによる満足感はある。起業・創業には知識も必要であり、相談の窓口に商工会・商工会議所、よろず支援拠点(かがわ産業支援財団)等の公的支援機関があり、当協会も行っている。しかし、意欲だけでは実現しない。良い素材を見つけ、誰のために、どのような方策で収益化するのか、ビジョンをしっかり持ち取り組むことが重要である。その際、労務や会計知識など一定のスキルは持ち合わせるべきである。

以前、当協会で創業セミナーを開いた際、女性を含めた30~50 代の参加者が全体の8割を占めていた。資金ニーズも若者や女性による案件は増えている。社会経験を積み、視野が拡がることで、起業し独立という選択をする者が増えているのかもしれない。

中小企業白書によると全国の起業者数のうち29歳以下の起業者は2022年時点で11.3万人、2012年時点からすれば1.5倍近くになっている。また、起業希望者全体に占める、在学中でかつ起業を希望している大学生や具体的に起業準備を行っている大学生の割合も増えている。大学によっては部活動としての起業部があるようで企業が応援しているところもある。講座がある大学もある。早くに自分に合った仕事を考える学生がいることを頼もしく思うが、他方、大学等の新卒者で入社3年以内の離職者は3割以上にのぼる。人間関係の不調和や自分に合った仕事ではなかったという理由が多い。雇う側に離職を減らすための工夫は求められるが、雇われる側も業種に必要なスキルやどのような仕事かをイメージしておくべきである。

この将来の選択を考える上で、主体的に学ぶ時間が持てる学生たちには、できれば起業に興味を持ってもらいたいと思っている。起業するには地域の課題を考え、社会の現状を知らなければならない。体験することによって、その分野に何が求められているかを考えることができる。後継者に悩む業界の実情を知る機会ともなり、してみたいと思う仕事を見つけられるかもしれない。時に考えたアイデアが実現すれば、県内経済の活性化に貢献できる。若さを活かし、早くに事業や経営に関心を持ってみるのはどうだろうか。

香川県信用保証協会 会長 西原 義一

写真
香川県信用保証協会 会長 西原 義一

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ