豊かな物語性を楽しむ気軽なインテリア

香川が誇る高級石材、庵治石。通常は廃棄されるその端材を再活用し、アーティスティックで日常的に楽しめるオリジナル香炉が人気を博している。

開発したのは株式会社一。香川を拠点にお香文化の伝統と魅力を発信し、新たな価値観も開拓しようとする同社は、他分野とのコラボレーションにも積極的だ。庵治石の香炉もその一つで、石材業者と合香師それぞれの観点を反映し、芸術的価値とともに伝統工芸や香川の歴史や風土も含めた「石に込められた物語」を表現する。丁場で一つ一つ選んだ自然石を丁寧に加工する一点もので、手入れの際に水洗いすれば美しい「斑」も際立つという。

香炉に添えるお香は、約500年前に中国や琉球で使われていたものを同社が古文書から再現した。1本50分と長時間持つことと、灰が散らずくるくる巻き取るように燃焼するのが特長で、香炉の上に落ちる様子を「山に積もる雪」に見立てる。

癒やしのインテリアとして、女性を中心にオンラインショップやセレクトショップで人気。1本で50分計れる香時計の機能もあり、カウンセリングやヨガ教室などでも広く活用されている。代表取締役社長の岩佐一史さんは「お香文化とともに、香川の物語や伝統を国内外にPRしていくきっかけになれば」と意欲的だ。