未来にほしい機械をつくる ソーラーパネル清掃ロボ開発

株式会社未来機械 代表取締役社長 三宅 徹さん

Interview

2014.02.06

「ロボットは製品化しなければ意味がない」。この思いを胸に三宅徹さん(33)は、香川大学在学中に起業した。「機械は多くの人に使ってもらい、そのフィードバックでさらに性能が良くなっていくものです。だから、製品として販売しないといけないんです」

博士号を取得後、研究者になるか経営者になるかの選択を迫られた。そのとき、迷わず経営者を選んだ。

子どものころの口癖は「なぜ」「どうして」。疑問をぶつけては、両親を困らせたという。興味があったのは、ものが動く仕組みだ。理系だった父は、三宅さんの質問に丁寧に答えてくれた。「今思えば、間違っていた説明もありますが、謎が解明されることはうれしかったですね」

小学生のとき不思議に感じたのは、みそ汁だったという。おわんを回しても、みそ汁に浮かんでいる具は動かない。どうしてそういうふうに動くのか、また動かないのか、疑問に思っていた。後に慣性の法則や摩擦、液体の粘性を学んだとき、謎が解けた。

洗濯機の回転盤を外して、母に叱られたこともある。「留め具をなくしてしまったんですが、既製品のねじに手を加えて直すことができました」。電源のいらないラジオなど、手づくりすることにも興味があった。

「学生時代までは、自分の思っていたとおりのものをつくることが喜びでした。会社というチームになった今は、自分の想像を超えるものをつくれることがうれしいですね」

起業後取り組んだのは、2005年の愛知万博で展示するための機械だ。「2020年ごろに実用化できそうな近未来のロボット」がテーマだった。完成したのは「WallWalker」という、吸盤で壁やガラスに張り付く自動掃除機。

「香川大学の工学部は、高層階まであるので、外壁の掃除が大変です。校舎がきれいになる機械があればと思ったのが、始まりでした」。WallWalkerは、現在製品化に向けて準備中だ。

愛知万博での展示をきっかけに、開発することとなったのが「ソーラーパネル清掃ロボット」。「壁が掃除できるなら、ソーラーパネルにも応用できるのでは」という声があったのだ。

日本は適度に雨が降るため、ソーラーパネルがひどく汚れることはない。しかし、中東や北アフリカなどの雨が少ない砂漠地域では、砂や汚れがパネルを覆い、発電量が低下してしまう。手作業での清掃は過酷で、コストもかかる。これらの課題を合理的に解決するのが「ソーラーパネル清掃ロボット」というわけだ。

「屋外の厳しい環境にさらされた中で、自動で動くロボットは珍しいと思います」。開発に当たって重視したのは、水を使わない、砂を集めない、一人で持ち運びできるということ。

清掃ロボットは、前後に付いたブラシで掃きながら、1秒間に10センチずつ進んでいく。2時間稼働できるバッテリーを搭載しているが、重さは11キロで持ち運びも簡単。給水や集めたゴミの処理といった手間もかからない。

2012年に中東で実証実験を行い、今年中の製品化を目指している。目標価格は200万円だ。「ロボットの分野はこれから成長していきます。われわれのようなベンチャー企業でも、シェアを獲得できると思っています」

人が未来にあってほしいと思うような機械をつくる。それが未来機械の目標だ。

三宅 徹 | みやけ とおる

1980年8月3日 岡山県倉敷市生まれ
2003年3月 香川大学工学部知能機械システム工学科 卒業
2004年3月 株式会社未来機械設立
      代表取締役社長に就任
2005年3月 香川大学大学院工学研究科
      知能機械システム工学専攻博士前期課程 修了
写真
三宅 徹 | みやけ とおる

株式会社未来機械

所在地
高松市林町2217-44 ネクスト香川202
TEL
087-816-5112
資本金
997万3000円
社員数
7名
事業の概要
移動ロボット・メカトロニクス機器・レーザ三次元測定機の研究開発と製造・販売、技術・知的財産権のコンサルティング
確認日
2018.01.04

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