地方に根差し課題を解決したい

株式会社D-yorozu CEO 柏原 悠人さん CTO 山田 斉さん

Interview

2023.06.01

小学生の頃からものづくりが好きな柏原さんと、鉄道好きで鉄道会社に就職を目指していた山田さん。二人は2023年に香川高等専門学校電子情報通信工学専攻科を卒業した同期だ。在学中に出場した全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)をきっかけに、起業を決めた。DCONは全国の高専生を対象とし、「ものづくりの技術」と「ディープラーニング(人工知能)」を活用した作品を制作することで生み出される「事業性」を「企業評価額」で競うコンテスト。二人とも全国7位以内に入賞し、合計評価額は約10億円に上る。「技術力そのものに偏重せず、ニーズに沿って技術を生かす視点と、自分が持っている技術の価値を学びました。我々が今実践しているのも、まさにそういうものづくりです」と柏原さん。

23年1月に設立したD-yorozuの社名には、「デジタルの力で万事解決を図る」思いを込めた。現在の主な事業内容は、企業受託研究開発と地域貢献。DCON実行委員長・松尾豊東京大学大学院教授の「企業受託で市場を学べ」というアドバイスもあり、コンテストで高く評価された技術を敢えてコアとせず、幅広い受託案件に対応しながら自分たちのやりたいことを模索中だ。

中でも地域の農業課題解決には、強い関心を持って取り組んでいる。二人とも兼業農家の生まれで、農業は身近なテーマ。「表面的な課題はたくさんありますが、その根底にある本当の課題を探り当てるのが我々の使命だと思っています」と山田さん。つくる作物も必要な作業もそれぞれ異なる農家に共通する課題を探るため、まずは幅広いデータ収集・分析からスタートしようと、農地情報を収集するソフトウェアを開発。中・西讃の農家を訪問して現場の話を聞きながら、いずれはハードウェア開発も視野に入れている。
子供向けのプログラミング講座

子供向けのプログラミング講座

ターゲットは、効率的に事業拡大を図りたい大規模農家。山田さんは「いろんな人の声に耳を傾け、農業にこだわりすぎず、柔軟に展開していきたい。地方はデジタル化がまだまだ進んでいない中、分析して課題を掘り当てていく楽しさがある。ずっと地方・地域に根差す企業でありたいと思っています」と力を込める。

起業してみて感じるのは、高専で学んだ知識や技術の実用性だという柏原さん。「しっかり手を動かす高専生の強みを実感します。大学に行くより実践力がついたと感じることもあるほど」。地域貢献の一環としてハードウェア工作やプログラミングの楽しさを伝える子ども向けの教室を開催し、デジタル人材育成にも取り組む。「高専生や移住してきたプログラマーたちとの交流も含め、デジタル人材は積極的に開拓したい。今後スタッフが増えるとしても、社員ではなく『メンバー』として迎えたいですね」と語る。

戸塚 愛野

柏原 悠人 | かしはら ゆうと

略歴
2000年 琴平町生まれ
2016年 香川高等専門学校 入学
2021年 香川高等専門学校専攻科 入学
2023年 株式会社D-yorozu 設立

山田 斉 | やまだ ひとし

略歴
2000年 まんのう町生まれ
2016年 香川高等専門学校 入学
2021年 香川高等専門学校専攻科 入学
2023年 株式会社D-yorozu 設立

株式会社D-yorozu

住所
香川県三豊市財田町財田上2171番地1(一般社団法人みとよAI社会推進機構MAiZM内)
設立
2023年1月29日
事業内容
AIを使用したデータ分析
ハードウェアの開発
プログラミング教室
地図
URL
https://d-yorozu.com/
確認日
2023.06.01

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