日本の麺文化を世界へ広げる
コンテンツビジネスの可能性

株式会社大和製作所 代表取締役 藤井 薫さん

Interview

2024.04.18

うどんやラーメンの店舗用製麺機の製造販売で業界トップシェアを誇るかたわら、新規参入者向けに展開する「麺学校」では製麺と料理スキルのみならず実践的な経営ノウハウも広く教え、約20年で6000人余の卒業生を国内外に送り出してきた。「どんな分野も、もはや日本だけでビジネスが成立する時代ではありません。海外市場を的確につかんだグローバル化が成功の鍵です」と語り、今後はさらにコンテンツ販売に可能性を感じているという。

麺学校事業は、藤井さん自身が「製麺機のユーザーが創業後に成功するには、料理のおいしさだけではない経営支援が必要」と気づいたことから始まった。うどんの本場・香川のブランド力を打ち出しつつ「短期間でプロ育成」を掲げ、現在は香川と東京でうどん・そば・ラーメンの3コースを開講している。1クラス8人前後の少人数制で、麺の打ち方やだしの取り方といった基本からトッピング調理、盛り付けや店舗マネジメントまで、新規創業に必要なノウハウを約一週間で集中的に学ぶ。レシピはすべて厳密に数値化されており、世界のどこで誰が作っても再現性が高い「デジタルクッキング」であることも特長の一つ。ビーガンやハラールメニューにも対応する。

特に人気が高いのはラーメン学校で、生徒の半数は外国人だ。直接参加が難しい人向けに、動画中心のオンラインスクールでも同等の内容を複数言語で発信。「日本の麺文化は海外でも注目が高い。しかし味覚や食に関する習慣がいろいろ異なるため、日本スタイルがそのまま成功するわけではありません。学校では各国の違いも教え、現地の材料を実際にそろえて指導します」。卒業生たちとは今もつながっており、世界各地に広がるネットワークを通じて最新の動向や現地感覚がつかみやすいのも強みだ。

こうしたノウハウをもとに、テーマごとにコンパクトな文書にまとめた電子テキストの販売事業が、今年2月から新たにスタートした。第一弾は「THE ESSENCE OF HAKATA RAMEN」と題し、日本のラーメン文化の歴史、博多ラーメンの特徴、具体的な作り方などを海外向けに伝える内容。「毎月10本ペースで追加していきたい」と意気込み、購読者の要望も反映しながらコンテンツを増やしているところだ。13カ国から集まった国際色豊かな人材力を生かし、各言語への翻訳なども社内ですべて手掛ける。

「コンテンツ人気が高まれば、当社の製麺機の販路拡大にもつながります。スクールとはまた違う気軽さで詳細な情報にアクセスできる電子テキスト販売は、今後のメイン事業になるでしょう」と藤井さん。20年の歴史が支える新しい挑戦に、大きな期待を込めている。
日本語版電子テキストの表紙

日本語版電子テキストの表紙

戸塚 愛野

株式会社 大和製作所

住所
香川県綾歌郡宇多津町浜三番丁37-4
代表電話番号
0877-85-6168
設立
1975年10月24日
社員数
65名(2021年10月現在)※現地法人含む
事業内容
うどん・そば・ラーメン用製麺機 製造販売
うどん・ラーメン・そば・パスタ学校の運営
麺専門店経営・店舗運営相談、新規開業トータルプロデュース事業
香川県創造法認定麺専用塩「46億年」製造販売
資本金
9000万円
地図
URL
http://www.yamatomfg.com/
確認日
2024.04.18

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