自分もまわりの人も“ワクワク”することを

株式会社たまり 代表取締役 山内 麻由さん

Interview

2023.06.15

しょうゆにちなんだ言葉であることと、人が集まる場にしたいという思いを店名に込め、しょうゆ蔵だった古民家をリノベーションした「さぬきうどん 溜(たまり)」を25歳で創業してから10年。地域に根差したお店づくりを模索する中で自分自身が成長し、活動の幅が広がってきた。

素朴でアットホームな雰囲気と、腕のいい職人が作る味で人気店に。オープンから2年で法人化した。「経営者になれたのが嬉しくて。売上を伸ばしてきたという自負もあったし、社長である私の言うことを聞くのが当たり前だと思っていました。今思うと恥ずかしいです」。スタッフの多くが店を去った。

そんな中、他の経営者たちと様々な話をするうち、考えを改めた。現場で一緒にしんどい思いをし、社員をよく見て、しっかり話をした。「子育てしながら働くシングルマザー、持病を抱えながら頑張る人。みんな尊敬できるところがたくさんある」。社員を信頼し、今では自分がいない時もお店を任せられるようになった。

まわりの人や地域に目を向けるようになり、いろいろな気づきがあった。「子どもの頃に比べて人が減って空き家が増えた。米も野菜も手間をかけておいしいものを作っているのに、なかなか生産者の利益につながらない。地域の事業者たちも苦しんでいる」。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。

生まれ育った地元で何かできないかと、少し見た目が悪くなっただけで出荷できない農作物の販売を店頭で行った。災害時に保冷庫付きのキッチンカーで食料提供するよう、さぬき市と防災協定を締結した。さらに地域の農家、飲食店、事業者たちと「地域活性化プロジェクト 讃岐乃風」を結成。自分たちが作るものを知ってもらうためマルシェを開催。お互いの悩みを相談しながら、新たな価値を生み出していける仲間の輪が広がった。
「大河子ども食堂」のメンバーと

「大河子ども食堂」のメンバーと

地域で最も気になったのは、子どもたちのことだった。「コロナ禍で毎日黙って給食を食べて、遠足も修学旅行もない……。少しでも元気になってもらえることがしたい」。そこで昨秋、「大河こども食堂」を開いた。

当初は、コロナ禍で来客が減ったために余った食材を活用して実施。現在も、時には地元企業から食材提供を受けながら、毎週開催している。不登校やコミュニケーションが苦手な子がほっとできる場でもあり、お母さんどうしが悩みを話してストレス解消する場でもあり。多い時は約80組が訪れるという。

「思い立ったらいろんな人を巻き込んで即行動するタイプ。その分“一発屋”の傾向はあるんですけど(笑)。ただ、子ども食堂は元気に過ごせるための場所として続けていきたい」。そこで、地元企業とともに不用品マーケットを開催し、売上を子ども食堂の運営に充てることを計画。農業体験なども考えているという。

「大事にしているのは自分がワクワクできるかどうか。行動することでまわりの人もワクワクできるような活動を続けていきたい」

石川 恭子

山内 麻由 | やまうち まゆ

略歴
1988年 大川郡(現さぬき市)長尾町生まれ
2007年 津田高校 卒業
2009年 高松短期大学秘書科 卒業
2013年 さぬきうどん溜(たまり)創業
2015年 株式会社たまり 設立 代表取締役
2021年 地域活性化プロジェクト「讃岐乃風」結成
2022年 「大河こども食堂」開始

株式会社たまり

住所
香川県さぬき市造田宮西849-1
代表電話番号
0879-52-0213
地図
URL
https://tamariudon.com/
確認日
2023.06.15

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