
子どもたちに教えられた 特別支援教育の在り方
善通寺養護学校(当時)の小学部で適応障害の子どもたちを担当した11年間は、最も学ぶことが多かったという。「できるまで頑張れ!」と励ます従来の指導から「褒めて肯定感を高める」指導へ転換しつつあった時代で、自身の教育観も大きく変わった。「小さいことから達成できる環境を整えて、一つ一つ褒める。スモールステップの手法です。ボールを手渡し合うところからキャッチボールを練習し、休み時間の野球に参加できるようになった子もいました。教育に特効薬はない、どう支援すればいいかは子どもたち自身が答えを持っていると教えられた時期でした」
その後は学部主事や教頭として教師側の指導に当たることが増えたが、高松養護学校(当時)の教頭を務めた時に初めて肢体不自由の子どもたちの教育現場に触れ、ICTなどを駆使する専門性の高い指導も間近に見て、学びを深める機会も得た。
インクルーシブ教育の 新たなモデル校として

池田小との合同運動会の様子(2023年5月)
校長として赴任した林さんは「これまでは高松の支援学校などに通っていた子も、地域で一緒に学べる環境が整いました。小さい歩みですが、島内のほかの学校との交流も視野に入れ、ここを支援教育拠点校としてインクルーシブ教育実践の足掛かりにしたい」と意欲的だ。
校長室の扉は常に開かれ、子どもたちの声が明るく響いてくる。「笑い声が高松まで届くくらい活気ある学校になればうれしい」と語った。
戸塚 愛野
林 省吾 | はやし しょうご
- 略歴
- 1966年 香川県生まれ
1990年 香川大学教育学部
養護学校教員養成課程 卒業
香川県立香川東部養護学校 教諭
1995年 香川県立香川中部養護学校 教諭
2006年 香川県立善通寺養護学校 教諭
2017年 香川県立香川丸亀養護学校 教諭(中学部主事)
2019年 同校 教頭
2021年 香川県立高松養護学校 教頭
2023年 香川県立小豆島みんなの支援学校 校長
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