「ふじめん」の ファンをつくりたい

藤井製麺 代表取締役 藤井 義文さん

Interview

2016.11.03

店内には表装し直した「家訓五則」。手に持つ商品にはふじめんのロゴ

店内には表装し直した「家訓五則」。手に持つ商品にはふじめんのロゴ

「水車の製粉業」として明治30年創業。当時は、製粉業のかたわら地元の小麦を預かってうどんにして返すということを行う業者も多く、藤井製麺もそんな製粉業者の一つだった。やがて、輸入小麦が市場を席巻し製粉業者が淘汰(とうた)される中、いち早く製麺中心の業務に転換。「環境の変化に対応できたから今まで続けられたと思います」と4代目の藤井義文さん(56)は言う。現在はギフト、土産用に特化しうどんを中心とした麺類の製造・販売を行っている。
薬品会社で2年勤務した後、故郷に帰って家業を継いだ。「株式会社藤井製麺」へと社名を変更し、主力商品「包丁切り半生さぬきうどん」開発といった会社としての大きな変化を経て、さらなる成長を目指していた時期だった。

営業、配達、工場での仕事をしながら、入社後まず取り組んだのは会社のアイデンティティを確立すること。その一環として「ふじめん」のロゴと「伝統の味 藤麺」というキャッチコピーを作り商品に表示した。目を引くロゴの赤い丸は、お客さんの笑顔を表している。「商品を知ってもらうことは信頼につながります。藤井製麺と聞いて分からなくても“ふじめん”は知っているという人は多い。そういう意味で、ブランド化は成功だと思います」

競合店が多い香川で選ばれるには、ふじめんファンを増やすことだと考えている。味を守ることもその一つだ。機械化を進める中でも“粉のことを知る製粉業”として昔ながらの製法は守りたい。そのため製造コストが3~4倍かかってもあえて水分をしっかり加えて練り、熟成させてから乾燥。なめらかでコシのある食感を目指している。ほとんどの工程を機械で行うが、最終的に練った生地を触って水分量や状態を確かめる。「最後はやはり職人の感覚で決めるんですよ」
今年オープンした新店舗

今年オープンした新店舗

藤井さんの机の横には、昔から家に伝わる「家訓五則」の額がある。「お店の利益よりお客さんの利益を優先する」や「信用を落とさない」など、商売の基本が書かれてある。「内容はシンプルですが、実践し続けるのは並大抵ではありません」。何かあれば今まで築いてきた信用もブランドイメージも一瞬で崩れる。だからこそ、「商品にもお客様にも常に誠実であるよう心掛けています」
また、初代のころからここで商売が続けられることに感謝をし、少しでも地域の役に立ちたいという思いも持っている。その一環として、毎月第2水曜に「お客様感謝デー」というイベントを始めた。「毎回たくさんのお客様に参加していただき、触れ合えることが何より嬉しいですね」
好きな色を、好きな数選べる「HANAIRO」 1箱292円(税込み)

好きな色を、好きな数選べる「HANAIRO」
1箱292円(税込み)

最近は中元歳暮、土産などの市場が縮小傾向にあり、どう活路を見出していくかが今後の課題だと言う。そんな中、新たなファンを獲得したのが、カラフルな5色の箱から選べる「HANAIRO」だ。女性社員が中心となって開発した商品で「最初はティッシュペーパーの箱にしか見えなくて大丈夫か」と心配した。しかし「おしゃれなパッケージでお土産にしやすい」「一人前食べきりサイズで便利」と若者や女性を中心に評判となった。

「時代に合わせて販売方法や商品は変わっても、うどん作りから離れることはない」と言い切る藤井さんは、次の代表的な商品作りを目指す。

編集長補佐 石川 恭子

藤井 義文 | ふじい よしふみ

1960年 2月 木田郡三木町生まれ
1982年 3月 東海大学教養学部 卒業
1982年 4月 東邦薬品株式会社 入社
1984年 5月 株式会社 藤井製麺 入社
1986年 3月 乾麺製麺技能士資格取得
1987年 3月 生麺製麺技能士資格取得
2004年 9月 代表取締役 就任
写真
藤井 義文 | ふじい よしふみ

株式会社藤井製麺

住所
木田郡三木町下高岡2575-6
TEL:087-898-0076
事業の概要
めん類製造・販売
資本金
3,000万円
従業員数
41名
地図
URL
http://www.fujimen.com/index.html
確認日
2018.01.04

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