「目指すは地域ナンバーワンのホテルです。しつこいくらい社員に言い聞かせています」
訪日外国人(インバウンド)の増加もあり、宿泊客数は好調だ。しかし、目指す姿はその先にある。レストラン、婚礼、宴会や集会で地元の人たちにも利用してもらい、満足してもらう。それが果たすべき最大の使命だと近藤さんは強い口調で話す。
新会社の社長になった5日後、最愛の妻が病に倒れ、帰らぬ人となった。「あの時のつらさに比べれば、仕事での苦労なんて何とも思いません」
どんな苦難があろうと、それぞれの地域に根ざした愛されるホテルにしてみせる。近藤さんは3つのホテルの心を一つにし、地域ナンバーワンホテルへと導いていく。
何が求められているのか
「目指すは地域ナンバーワンのホテルです。しつこいくらい社員に言い聞かせています」
訪日外国人(インバウンド)の増加もあり、宿泊客数は好調だ。しかし、目指す姿はその先にある。レストラン、婚礼、宴会や集会で地元の人たちにも利用してもらい、満足してもらう。それが果たすべき最大の使命だと近藤さんは強い口調で話す。
新会社の社長になった5日後、最愛の妻が病に倒れ、帰らぬ人となった。「あの時のつらさに比べれば、仕事での苦労なんて何とも思いません」
どんな苦難があろうと、それぞれの地域に根ざした愛されるホテルにしてみせる。近藤さんは3つのホテルの心を一つにし、地域ナンバーワンホテルへと導いていく。
「ホテルならではの上質なサービスを提供することで、また使ってみようと思ってもらえます。まずはハレの日などの特別な一日に利用してもらえるような存在にならなければと思っています」
近藤さんには信念がある。「サービスに限界はありません」。それを痛感したのが、かつて再建を託されたホテルクレメント徳島での苦い経験だった。
見せつけられた「王道」
技術者として国鉄に入り、線路をメンテナンスする保線課などでキャリアを積んだ。しかし、1987年の分割民営化に伴ってJR四国へ移ったのを機に、駅ビルの開発やキヨスクの運営など鉄道以外の新規事業を任されるようになった。「元々土木屋だったので、全く分野が違い、お付き合いする人もがらりと変わりました。でも、とても面白かった。案外向いていたのかもしれませんね」
2006年、ホテルクレメント徳島に専務として赴任した。任務は、悪化していた経営状態を立て直すことだった。「大きな赤字を抱え、閉塞感があって・・・・・・非常に厳しい状況でした」
あの手この手と策を練ったが、思うように再建が進まない。そこで近藤さんは、付き合いのあった大手ホテルの阪急阪神第一ホテルグループに協力を求めた。社員の研修にとどまらず、総支配人をはじめ営業スタッフや料理長に徳島まで出向で来てもらった。そこで見せつけられたのは「まさにホテル業の王道でした」
客の動向を分析して戦略を練る。アンテナを立てて要望を的確につかみ、改善すべきところは速やかに改善する。「売上に対する意識がまるで違っていました」。徳島の社員たちにとって売上とは「計上するもの」だったが、阪急阪神第一の社員にとっての売上は「作るもの」だった。
中でも衝撃を受けたのが、サービスのレベルだ。「ここまできめ細かにできるものなのかと、まるでプロとアマチュアくらいの差を感じました。教育、訓練、心がけ・・・・・・全てにおいてかなわないと打ちのめされました」
本気で立ち向かわないと苦境からは抜け出せない。近藤さんは一流のサービスを目指して社員教育を徹底し、さらに親会社に掛け合ってホテルの全館リニューアルも実現させた。「3年くらい大騒ぎしながらサービスを一から見直しました。やがて業績も好転し、お客さんから『サービスがずいぶん良くなった』と言ってもらえた時は本当にうれしかったですね」。社員たちと一緒に私も少しは成長できたかな、と近藤さんは目を細める。
最愛の妻からのエール
休日はいつも2人で過ごす社内でも評判のおしどり夫婦だった。だが、何の前触れもなく最愛の人が突然いなくなった。「その時思ったのは、人生は何が起こるか分からない。何が起こっても不思議じゃないということです」
妻から送られたエールに応えるためにも、強い覚悟で社長業に挑み、3つのホテルを引っ張っていく。理想とする姿がある。「私たちのまちにはあのホテルがある。大事な人を連れて行くならあのホテルだ。地元の人たちにそう思ってもらえるようにならないと地域ナンバーワンとは言えません」 もっとレベルアップしなければならない。伸びしろはまだまだあると近藤さんは話す。
「お客さんが求めているのは期待以上のサービスです。ホテルなら当たり前だと思われている以上のことをしなければならない。これからも究極のサービスを追い求めていきたいと思っています」
編集長 篠原 正樹
近藤 明生 | こんどう あきお
- 1954年 徳島市生まれ
1979年 徳島大学大学院工学研究科
土木工学専攻 修了
日本国有鉄道 入社
1987年 四国旅客鉄道(株) 入社
1994年 関連事業部事業課長
1995年 工務部保線課長
1997年 (株)ステーションクリエイト徳島
代表取締役社長(出向)
2000年 四国キヨスク(株)
専務取締役営業本部長(出向)
2004年 事業開発部長
2006年 徳島ターミナルビル(株)
代表取締役専務(出向)
2010年 同 代表取締役社長
2015年 (株)ジェイアール四国ホテル開発
代表取締役社長
2016年 (株)JR四国ホテルズ 代表取締役社長
- 写真
株式会社 JR四国ホテルズ
- 所在地
- 高松市浜ノ町1-1
TEL:087-811-1115/FAX:087-811-1116 - 設立
- 1997年10月28日
- 資本金
- 1億円
- 株主
- 四国旅客鉄道株式会社100%出資
- 従業員
- 378人(2015年4月)
- 事業内容
- ホテル業 他
- 沿革
- 2015年 4月 (株)ジェイアール四国ホテル開発(JRホテル クレメント高松)を存続会社に、
徳島ターミナルビル(株)(ホテルクレメン ト徳島)、
宇和島ステーション開発(株)(ホテルクレ メント宇和島)を吸収合併
2016年 7月 (株)JR四国ホテルズに社名変更
- 地図
- URL
- http://www.jrclement.co.jp/
- 確認日
- 2018.01.04
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