ドイツ、イギリス、台湾、スイス…
長い海外勤務で見えたもの

日本たばこ産業 四国支社長 白男川 正行さん

Interview

2016.10.20

四国遍路を逆打ち中

四国遍路を逆打ち中

四国に来る前から、瀬戸内国際芸術祭の噂は聞いていた。ジュネーブ勤務の時にフランス人の同僚が「夏休みに直島と豊島へ行った」と言っていたのだ。調べてみると香川にあるアートの島だと分かった。着任後の休暇に早速、家族と一緒に直島を訪れた。地中美術館は何時間でもいられると思うほど、のんびり過ごせた。

「4県それぞれ個性があって、まさに4つの国なんだなと思います。大変興味深く、これから楽しみです」。四国遍路の逆打ちを始めたばかり。おいしい食べ物も楽しみたい。

違和感を大切にしたい

学生時代、ものを作って売る、地に足の着いた商売をするのが本来のビジネスだろうと考えた。就職はメーカーしか考えていなかった。

「会社に使われるんじゃない。会社と自分は対等だよ」。JTを訪問した時、そう話す先輩がいた。「専売公社のイメージが強かったので、こんなにざっくばらんな人がいるんだと意外でした」

入社から今まで、ほとんどが海外勤務だ。忘れられないのは、1990年にイラクへ行った時のこと。たばこの販売に立ち会うために1カ月滞在し、仕事も無事終わって帰国しようというその日にクウェート侵攻が始まった。

空港は閉鎖、ホテルは軍に接収されて、日本とも連絡が取れなくなった。2週間足止めされた後、バグダッドからヨルダンまで移動し飛行機を乗り継いで日本へ帰国。周りからは大変だったねと労われたが、身に危険が及ぶことはなかったと言う。「現地には優しくて素朴な人が多かった。戦争ではそういう一般の人が犠牲になるので悲しいですね」

ロンドン事務所ではF1のスポンサーシップを担当。世界各国でのレースを一人で回り、広告がきちんと表示されているかの管理や、試合結果とドライバーへのインタビューなど情報発信を行った。カーナビも携帯電話もなく、道に迷い、言葉も通じず・・・を繰り返し、ブラジルやオーストラリアなど年間16カ国を訪れた。「どんなことも楽しめる性格です。それでも日本に帰ってくるとほっとします。海外での生活は常に緊張感がありますね」
海外勤務は家族と一緒に。旅行もたくさんした

海外勤務は家族と一緒に。旅行もたくさんした

海外勤務が長いからこそ、日本で感じる違和感を大切にしたい。日本では会議でもあうんの呼吸で物事が決まる。だが、いろんな国の人が集まっている海外の事務所では「何となく分かる」ということがない。なぜ、どうしてと徹底的に議論する。

「日本ではもう少し褒めて伸ばすことをしてもいいかな。なぜ100点じゃないのかではなくて、まず80点取れたことを褒める。できないことに目を向けるよりも、できていることをどう伸ばすかが大事です」

チームで挑む楽しい職場に

ひといきつける嗜好品として、喫煙者と非喫煙者が共存できる環境づくりに努める。

支社長としては四国支社を楽しい職場にしたい。「仕事が厳しいのは当たり前。でもやりがいがあって、ワークライフバランスも取れてというのが理想。お互いに助け合って、チームとしてチャレンジする。それが業績につながり、毎日会社に来るのが楽しくなれば。社内で四国支社に行きたいと言われるような職場にしたいですね」

白男川 正行 | しらおがわ まさゆき

略歴
1966年11月 東京都生まれ
1989年 3月 一橋大学商学部 卒業
1989年 4月 日本たばこ産業株式会社 入社
1990年 4月 Japan Tobacco International デュッセルドルフ事務所
1995年 3月 日本たばこ産業株式会社 ロンドン事務所
1999年 9月 JT International ジュネーブ本社 調査役
2008年 1月 JT Tobacco International 台北事務所 調査役
2012年 7月 JT International ジュネーブ本社 調査役
2016年 4月 本社M&S管理部 調査役
2016年 7月 日本たばこ産業株式会社 四国支社

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