「見えるぞ。私にも敵が見える」

四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2023.04.20

平成初期までのスーパーや量販店等の大規模小売業の研修会等で信じられていたことのひとつ「売上げはすべてを癒やす」という言葉があります。社の内外でどんな問題があろうと「売上の前年比」だけがプラスであれば最終的にはオールOKになってしまうという風潮です。ただ今に至っては、なおこの経営体質で評価されている企業はあまり多くはありません。どちらかというと「売上額」よりも「経常利益額」、また決算書の数字だけではなく「居心地の良い会社かどうか」「社会に貢献できているか」で企業の価値をはかるようになりました。ステークホルダー論も株主重視一辺倒から社員の幸せ重視にかわりつつあります。

同様に社会にとっても「経済成長はすべてを癒やす」の考え方は20世紀で終わっているような気がします。資本主義故に果てしない拡大競争は宿命ではありますが、企業ではなく個人レベルで話をすると、必ずしも「経済成長」だけが「幸せ」を追求する指標だけではないことに生活者の方々は既に気づき始めております。もちろんお金がないと何もできないのですが、稼ぐことが目標から目的となってしまい、本来の目的であった「幸福の追求」とは乖離(かいり)してしまって、生活者が自分の人生で求めているものとは違った社会になっていきつつあることがそろそろと露呈し始めているようです。

ただ個人レベルではそれに気がついていても組織レベルとして地域レベルとしてはどうでしょうか?国家や地方行政における「指標」は昔と変わらないままで、今や意味の薄まったモノサシを後生大事にして、これから大切となるところをあえて計測していないような気がします。人間の行動は必ずしも古い理論や正論通りには動かないことは今回のコロナ騒ぎを冷静に視ても実感できたと思います。人としてもオールドタイプから脱却してニュータイプに生まれ変わる節目かもわかりません。選挙の話ではありません。この地域として何を目指していくのかを皆で考え直す機会かもわからないと思います。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

略歴
1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
    株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任
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四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

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