「人の行く裏に道あり花の山」

四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2023.12.21

最近のマーケティングでは「差別化」ではなく「独自化」だと言われておりますが、まったくもってその通りです。例えばどこかが「お城の天守閣でご宿泊」を立ち上げれば何カ月後には別の場所で同じ企画が発表され、その企画が全国に散らばっていく途中で、「場所が違うから」「値段が違うから」「うちはこんなオプションがある」等々、多くのお客様から見たらどうでも良いところを自己満足で差別化し、結果最初の一箇所だけなら数十年後まで続くところのものが、数年後には全体として飽きられていく・・・という顛末が見え隠れしてきます。昔から「讃岐の猿まね」という言葉もあるように我々日本人は、世界のどこかで当たれば、自分のとこでもちょっと違えた同じことを安価で製産するか、少しだけどうでも良い付加価値をつけて真似するかで、発展を遂げてきたような印象があります。

中にはウォー△マンやカラオケの様にまったく新しい市場を作り出した製品もありますが、これからの地方はそういったものを目指さないと「あの都市をモデルにして」とか「あの施設を参考に」とか言って、偉い人だけでこぞって視察して結果的に他所と似たような物をつくっていたのでは、決してオリジナルには勝てないどころか共倒れです。独自性とは「今までにないもの」「他所ではできないもの(真似しようとも思わないもの)」を指すのであって、それは制作者や企画者およびスポンサーの「知恵とセンス」が試されているのです。もちろん見た目やデザインだけを凝っても長続きしません。「何のために」というコンセプト段階から斬新なものを考えないと勝てないでしょう。

自分の拙い経験からしても、おおよそ皆が皆賛成してくれたものは、ひとつも面白くなくて、まわりから「そんなことやめとけ」とか「何考えとるんや」と怒られそうになったものの方が、はるかにブレイクしております。昔は東京で流行ったものを地方に持ってくれば同じく流行していたのですが、今ではまったく通用しません。おそらく東京だけが人口集中マーケットとして独自化してしまい。結果、それが人を呼んでより膨れていって、すでに地方とは違う国になってしまったのでしょう。

これからの地方は、どこも前例がなくとも、またたとえ誰もついてこなくとも、ガラパゴスと揶揄されても怯まぬよう勇気を出して独自化を鮮明にしていかねば、いずれは負け組となってしまいます。今話題の地方連携も個性の違いが鮮明な者同士が連携していくことこそが、1+1=3になることだと思います。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

略歴
1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
    株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任
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四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

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