国際的な教育プログラムで
自ら「気づく」学びを後押し

らく楽福祉会グループ 副社長 佐藤 由加利さん/らく楽寺井幼稚園 園長 髙木 真美さん

Interview

2025.12.18

子どもたちの探求の場としてクラウドファンディングで刷新した「Library」(らく楽寺井幼稚園)

子どもたちの探求の場としてクラウドファンディングで刷新した「Library」(らく楽寺井幼稚園)

スイス・ジュネーブのインターナショナルスクールで1968年に始まった教育プログラム「国際バカロレア(IB)」。3~19歳を対象に国際的な視野とスキルを身につけた人材を育成するもので、世界中どこでも同水準の教育を受けられ、条件を満たせば世界各国の大学への入学資格を得られる。

プログラムを導入するには、候補校として国際バカロレア機構のワークショップや専門のコーディネーターのサポートを受けつつ実施体制を確立し、公式認定校となる必要がある。国内の認定校・候補校は約300校。2023年に候補校となったらく楽寺井幼稚園は、幼稚園・保育園では四国で初めての認定校になる見通しで、25年にはらく楽保育園も候補校に。子どもたちの主体性を重んじる教育で、教える側にも変化が生まれつつある。

IBは年齢に応じて4つのプログラムを提供しており、らく楽寺井幼稚園が実施しているのは3~12歳までの初等プログラム「PYP」、精神と身体を発達させる基礎教育だ。

導入に先立って、日本で初めてIB認定校となった岐阜県の先進校を見学した髙木真美園長は「先生も子どもたちも生き生きと楽しそうで、私たちに積極的に声を掛けてくれました。知らない人にも子どもたちがここまで自己表現できるのかと驚き、当園でも取り組みたいと強く思いました」と振り返る。

IBでは「探求する人」「心を開く人」など教育を通じて目指す10の在り方が設定され、その実践に向けて年間6つのテーマが設けられている。各校はそこから4テーマを選び、テーマに沿って具体的にどんな学びを提供するかを自由に決める。

同園では段階的に成長できるよう3年間のテーマを設定し、内容は子どもたちの興味関心に合わせて毎年柔軟に変えていく。先生主導の「お勉強」ではなく、子どもたち自身が楽しく遊びながら「気づく」ことに重点を置く方針だ。「的外れな答えも間違いや失敗ととらえず、その子が自分で考えたことを尊重・共感しながら、自然な好奇心を後押しするのが先生の役割。先生たち自身も、変化のある学びの場づくりを楽しんでいます」と髙木さん。語学・音楽・体育などの特別活動も、外部講師と連携してIBとリンクする内容になっている。

こうした環境で育まれた園児の豊かな自己表現力を象徴するのが、毎年1月の作品展で展示される作品。IB教育を始めて以降は、作品のテーマを決めるところから子どもたち自身で取り組み、作品のコンセプトも自らの言葉で発表。例年保護者が驚くほど見ごたえのある仕上がりだという。

IBは保育園・幼稚園から高校までのプログラムがある。らく楽福祉会グループでは、県内でIB認定を目指している小学校との連携も視野に、切れ目なくIB教育を受けられる環境整備も構想中。

一方で、グループ内にはアメリカ発祥の幼児教育「ハイスコープカリキュラム」を来春から導入する保育園もある。短期留学や食育にも力を入れるなど、IBに限らずさまざまな学びと体験の機会を提供している。「大切なのは、充実した教育環境を整えて子どもたちの選択肢を広げること」と、同グループの佐藤由加利副社長。「ここで育った子どもたちがどんな大人になっていくのか、私も楽しみに見守っています」と語っている。

戸塚 愛野

らく楽福祉会グループ

住所
香川県高松市室町1903-4
代表電話番号
087-868-1111
設立
2003年3月5日
社員数
654人(2024年4月)
事業内容
高齢者福祉事業、児童福祉事業、幼児教育事業
医療事業、温泉・井戸掘削事業、不動産事業 他
グループ
社会福祉法人らく楽福祉会、学校法人らく楽学園
医療法人社団らく楽会、らく楽興産株式会社
有限会社EAST、株式会社らく楽
地図
URL
http://www.rakuraku-group.jp/
確認日
2024.12.19

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