四国の空を支える若き翼
ヘリ運航と整備の最前線から

四国航空 運航課・山﨑和輝さん/整備課・足立忠則さん

column

2025.12.18

送電線の巡視、ドクターヘリや防災ヘリの運航、物資輸送、空撮など、多様な任務を担う四国航空。その現場で活躍する、機長の山﨑さんと整備士の足立さん。ヘリの「操縦」と「整備」、異なる立場から地域の暮らしを空から支えている。

山﨑さんは福島県出身。高校生の時、山火事対応に向かうヘリを見て「こんな仕事があるんだ」と興味を持ち、茨城県のフライトスクール「アルファーアビエィション」に進んで、自家用・事業用の免許を取得した。初めての体験搭乗では、足元まで広がるガラス越しに見える景色に心をつかまれ、「怖いよりも楽しい気持ちが勝った」と振り返る。

2024年に四国航空へ入社し、運航管理や機体構造の勉強、非常操作の訓練を重ね、今夏の社内審査に合格。23歳にして同社初の女性機長となった。送電線巡視や空撮を主に担当。「フライトは準備が9割。地形や目標物、天候、燃料、緊急時の着陸地点まで常に考えながら飛んでいる」と話す。乗り物酔いしやすい自身の体質を踏まえ、乗客の負担を軽くする操縦にも気を配る。

足立さんは綾川町出身。幼いころから機械が好きで、岐阜県の中日本航空専門学校でヘリコプター整備士の国家資格を取得し、14年に入社。格納庫で機体を分解・点検する作業に加え、運航に同行する運航整備も担当。送電線巡視やドクターヘリ、防災ヘリでは、ヘリに同乗し、着陸のたびにオイル漏れや異音、鳥との接触痕がないかを丹念に確認する。「整備士は地上の仕事だと思っていたが、実際はヘリに乗る機会が多い」と笑う。

安全の鍵は「“予兆”を見逃さないこと」。わずかな操縦系の変化、パイロットの「ちょっと気になる」という声も看過せず、故障につながる前の対処を心掛ける。

現場では、作業前に毎回危険予知活動を行い、クルー全員でリスクを共有する。操縦席で空を読み、整備で機体の声を聴く2人。立場は違っても、四国の空と地域の安心を守る思いは同じだ。

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