繁盛の神様

香川県信用保証協会 会長 西原 義一

column

2026.01.01

60年前の丙午(ひのえうま)昭和41年の合計特殊出生率は1.58であった。今の1.15より高いが、その前年の2.14からすると大きく減少している。江戸時代におきた「八百屋お七」事件からの迷信が当時は続いており、これを助長する報道もあって、出産を避けた夫婦が出たからだ。香港の風水師らの大災害予言で航空便が減便した事態も記憶に新しい。人は昔も今も風説に惑わされるものだ。

SNSが当たり前の今、騒ぎという情報の伝わり方には、注意しなければならない。憶測の情報でも、本当と信じられてしまえるから、悪意を持って騒ぎをあおるなどはもってのほかといえる。ついついバチでも当たってしまえと願ってしまう。

願う相手は神様?新年ともなれば正月飾りで年神様を迎え、一年の無事を願って地元の氏神様や人気神社に出かける。何と神様は多いことか。まつられる神には、神話の神々をはじめ、讃岐にもある天満宮「菅原道真」、東照宮「徳川家康」といった歴史上の人物も多い。その者への畏敬の念があるとともに、偉業が大きく信じられたからこそ神様になったといえる。

初詣では七福神巡りもする。中でも恵比寿様は唯一日本古来の商業の神であるが、初春の祝福芸として、大道芸人が恵比寿人形を舞わせて広まったといわれる。

この七福神を模して新しい神様が生まれている。万博会場にもいたビリケンさん。大阪通天閣のシンボルで、足の裏をなでると願い事が叶うといわれるが、元はアメリカ生まれ。大阪の繊維会社が、商品キャラクターとして、七福神が囲む八福神と銘打ったイラストを添えたことから今に至る。

恵比寿様やビリケンさんが広まったのは話題性だと思うが、まさに話題が広がり噂となり、それを信じて騒ぎとなり神が創られたともいえる。

とかく企業も評判でイメージが形づくられるところがある。だから好意的な内容の話題が出れば良い評判を呼ぶし、悪いと挽回できなくなる。工夫一つでイメージが拡散することにもなる。人は騒ぎを好むものだが、名前を広めるには騒がれる話題づくりが一番ということかもしれない。

では噂となるような良いイメージの評判を得るにはどうするか。まずは誠実さの積み重ねがあってのこと。ありきたりかもしれないが、この蓄積が信用につながり、モノやサービスが良ければ愛好者は増え、そこからより多くの人に評価され、話題となり、評判となっていく。良い評判づくりとなる知恵を出しバチがあたらないよう発信することで福の神が現れる。繁盛は作り出すものだと思う。

香川県信用保証協会 会長 西原 義一

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香川県信用保証協会 会長 西原 義一

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